【2022年読書レビュー】映画を早送りで観る人たち

まえがき

今回紹介する本

『映画を早送りで観る人たち』です。

本書の概要

コロナはきっかけだったかもしれませんがそうでなくても定額配信サービスは元々広まりつつありました。

  • 手軽に
  • どこでも
  • 好きなだけ

映像作品を見られる環境になったことはすごくありがたいことです。並行してTikTokやYouTubeのショート動画機能など1分単位の作品が登場したり、数分尺のドラマハイライトを紹介する動画、元動画の切り抜きなどとにかく短い時間で視聴できる映像が増えました。

これって勝手に供給してるはずなどなく需要があるからこそです。通常視聴する場合ですら倍速機能があったり10秒早送り機能があったりと「時間を巻いて視聴する」方法は多岐にわたります。自分もちょこちょこ使いますし、むしろそれがメインの視聴方法だという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本書はそれの是非を問うているわけではなく、このような視聴スタイルが広まっている背景を調べた結果をまとめているものになります。

本書の構成
  • 早送りする人たち
  • セリフで全部説明してほしい人たち
  • 失敗したくない人たち
  • 好きなものを貶されたくない人たち
  • 無関心なお客様たち

なぜ短い時間で映像を見たい需要が生まれた?

ここでは本書で紹介しているものをそのまま書き出します。そこに自分のニュアンスで加筆してます。

たくさんの作品に触れられるようになったから

最初に書いた通りですが、昔ならレンタルショップでDVDを借りるとか直接映画館に足を運ぶなどよっぽどお金持ちでない限り無制限に映像作品を見れる環境はありませんでした。

人との話について行くためにドラマやバラエティを見るのは今も昔も変わらない傾向(特に学生なら)ですが、昔なら特定の番組を見ておけばよかったのが、今は視聴できるものが多い=流行になるドラマなりアニメなりの絶対数も増えているために浅く広く知っておかないと話に乗っかることすらできません。そこで!1本あたりにかける時間を減らすために早送りにしたりハイライトだけ見るようになったという考えです。

確かに!

コスパならぬタイムパフォーマンスの追求

これは日本学生生支援機構に乗っている学生の収入推移です(類似のデータはもう少し広い範囲で本書でも紹介されています)。

ご覧の通り、仕送りが減少しています。日本実質的な賃金が上がっていないので当然っちゃ当然ですが金銭的には昔よりも苦しい状況で生活をしています。しかも昔はなかった消費税も今は10%ありますし。

このような中で学生に限って言えば生活費、学費のためにバイトに勤しみ、勉学に励み(のはずですが)、さらにその隙間時間で余暇を楽しむといった生活になります。

じゃあどうなるかといえばその隙間時間を有効活用するために短時間で要点だけかいつまめる方法を採用するのは自然とも思えます。

「間」「伏線」を楽しむ余裕がなくなった悲しみ

確かにハイライトだけ知っておけば最低限の話は乗れますし、映像作品における結論だけ手っ取り早く知ることになるので合理的ではあります。

でも、その結論を知った上で「おぉ」と思えるのってその前のところで匂わせ的なシーンがあったり、独特の間があったりと小説や書籍でいう行間があるからこそです。メリハリってやつです。

そこをすっ飛ばして結論だけかいつまんでもすっごい浅い知識だし、もし人の話について行くだけなら他人と違う知識を手に入れられてないし大していい行動だと思えません。そもそも自分は人が知ってる情報って価値がないと思ってまして、これについては本書でも以下のようなインタビューのやり取りがありました(引用です)。


A:そんなにまでして話題についていきたいですか。

B:えっ。ついていけないと困りませんか?

A:何が困ります?

B:人間関係で。自分だけ会話に入れないみたいな。

A:それはリアルの場で?

B:はい、学校の休み時間とか。以前、友達がNiziU(*2)(ニジュー)で誰々が選ばれたよねとかいう話をしてたんですけど、私はNiziUを知らなかったので、「えっ、何それ、流行ってんの?」って。

A:「へえ、そんなグループがあるんだ。教えて」じゃダメなんですか。もしくは、「私は見ていなかった、あなたは見ていた、以上」では終わらない?

B:その場で私のすることがなくなるじゃないですか! 私、何をすればいいんだろ、シーン……みたいな(笑)。


Bさん、ハイライトだけ知ってたってどうせ相槌打つしかできないと思いますが笑。

三人よれば文殊の知恵というのはそれぞれが違うことを知っているからこそですが、みんな同じこと(今回で言うとNiziUの話)しか知らなかったら何人集まったってこの友達グループから得られる音楽の情報はNiziU絡みだけです。1人だけいれば十分じゃないですか?

だから、時間が少ない中でお気に入りの作品を手軽に知りたいから・・・と言うのならともかく友達の話題について行くだけのために早送りしてまで作品を見るようなことはしない方がいいのにと改めて思いました。

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