【2022年読書レビュー】本気で考える火星の住み方

まえがき

今回紹介する本

『本気で考える火星の住み方』です。

本書の概要

またしても火星の本です。こないだは火星の旅行、今回は火星に住むことを仮装したお話です。

内閣府が公表している宇宙基本計画では2020年代後半を目途に日本人による月面着陸の実現を図る。』とあります。これすら現実的かどうか怪しいところですが、そこへきて火星の住み方なんで文字通り100年早いわ!そう思われても不思議ではありません。

ただ100年後、200年後、はたまた1000年後ならどうか?というと少し話が変わりそうです。資源の問題とか人口の問題などで日本人の中にも火星で暮らす人が出てくる「かも」しれません。

そんなスケール感の火星移住プランですが、実際にイメージされる方ってこんな感じのを想像しませんか?言い換えるとそのレベルぐらいの認識しかしてなくて詳細をどうするこうするっていう検討を真面目にしている資料は見かけません。

これは宇宙エレベーターでもお馴染みの大林組 火星の資源を利用しながら快適に暮らす「マーズ・ハビテーション1構想」から引用しています。ちなみに著者は本書の中で細かい建設設計ノウハウの話は大林組のサイトを見てくれた方が早いと述べられています。興味のある方は宇宙エレベーターの構想と合わせて見てみてください。


さて、本書ではそんな夢物語のような火星移住に関してかなり真面目に解決せねばならない課題や実際に移住する場合の大枠のプランも紹介しています。

火星の基礎知識・探査の歴史もざっくりと掴めるようになってます。

本書の構成
  • 火星の基礎知識
  • 火星観測の歴史
  • 火星のデーター大気・地質・水
  • 火星に住める条件
  • これからの火星探査の計画

火星に住むためのハードル

今は誰も住んでませんから「家がいるなぁ」「病院もいるなぁ」「食べ物を栽培しないといけないなぁ」などまるで原始時代の人が考えていたような悩み事が火星では再現されるわけですが、これをするにもいくらか課題があると著者は述べています。

建物を作るなら基本地下

先ほど紹介した大林組の画像なんかも地上にドーム型の施設を描いていますが著者はここに違和感があるようです。というのも火星と地球で大きく違うのが

  • 大気が薄くて隕石がバンバン飛んでくる
  • 砂嵐が地上で吹き荒れている
  • 宇宙線の影響を地上ではモロに受ける

確かにこれでは地上に太陽光パネルを作るのもう〜んとなりますし原子力発電所があるところに隕石が飛んできたら大惨事です。

火星に行くまでの人体影響の解消

地球から火星に行くにはざっくり2年ほどかかります(探査機の場合です)。宇宙空間にいる間、船内にいる人はこんな影響を受けます。

  • 宇宙線、太陽フレアを浴びる(地球に住む人の一生分を1回で)
  • ずっと無重力=筋肉・骨が衰える
  • ずっと同じ人とうまくやっていかないといけない

宇宙ステーションにいる人も同じような環境にさらされていますが、それでもせいぜい半年です。全然期間が違うので半年のデータで2年でも大丈夫ですとは言いづらいものがあります。

自分なら同じ人と2年間というのが辛いですね。地球で生きていれば最悪嫌な人とは関わらないことができるのですが、宇宙空間でそういうわけにはいきません。船外に出たら即死ですから笑

あとがき

今年度、JAXAは宇宙飛行士の募集をしています。宇宙飛行士になってもしばらくは訓練なのを考えると今回選ばれる人が宇宙に行くのはそれこそ日本政府が言っている2020年代後半の月面探査と時期が合います。

もしかしたらそのために募集かけたのかなぁとも自分は思っていますが、兎にも角にも日本人が地球の外へ少しずつ足をすすめているのは確実です。

今ちょうど産まれたぐらいの人たちが30代、40代になって宇宙飛行士になった人はもしかしたら火星探査に行ってるかもしれない、行ってくれてたらいいなと宇宙好きの人間としては楽しみにしています。前澤友作さんみたいに火星からYouTube配信してくれると尚いいですね。

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