この記事のもくじ
まえがき
今回紹介する本
『観光再生 サステナブルな地域をつくる28のキーワード』です。
本書の概要
これは観光庁のHPで載っている訪日外国人旅行社数の推移です。2020年と2021年、見事に真っ逆さまです。
コロナになる前はインバウンドでイケイケどんどんな雰囲気がありましたが今はそれどころではありません。もう2年も経ちましたがいまだに元通りになりそうな見立てはないのが現状です。
じゃあ観光業がいらないかと言ったらそんなことはありません。コロナでオンラインホニャララが流行ったことでリアルな体験の価値に気づくことが自分はできましたし、バーチャルな世界だけで余暇を潰すのは無理があります。
とはいえ、コロナ前に戻ると思うには無理がありますしそもそもコロナ前の状況が正解だったのか?というと実はそうでもないかも・・・ということがわかります。外国人旅行者が増えすぎてまちが汚くなったり道が混雑したり。
本書では元の観光業に戻すのではなくてコロナをきっかけにした新しい観光業の形を提唱しています。そのための要素を28個に分けて国内外の状況や各ワードの概要を解説しています。全ては、持続可能な地域づくりのため。
- 観光再生の鍵はサステナブル
- 新しい観光を生み出す新技術
- 観光に求められるトレンド
- 新規市場と顧客
- 人の呼び込み・教育
観光におけるサステナブルとは?
国連の機関における定義
最近耳にするサステナブル=持続可能であること、とは通常環境とか社会を指すものです。じゃあ観光の場合のサステナブルとはどういうことかというと本書ではUNWTO(国連世界観光機関)で定義されている意味を引用しています。
日本におけるガイドライン
では日本ではどんな取り組みがされているかというとUNWTOと観光庁が共同で発行したガイドラインがあります。その名も「日本版持続可能な観光ガイドライン」です(リンクから直接観光庁で公表している当該資料を見れます)。
・・・。
NISAもそうですけど「日本版〜〜」ってすっごくダサく聞こえちゃいますね。まぁそれはいいとして中身がどうなっているか見てみます。これは先述のUNWTOからの指示でGSTCという団体が作成した指標をベースに作成されています。
じゃあそのGSTCが作成した指標は何かというと以下の通り。
- 持続可能なマネジメント:地域内でのリスク共有、デスティネーション戦略の公表
- 社会経済的影響:経済データの収集など取り組みしていること、地域の特産物の購入などを推奨していること
- 文化的影響:文化資産の修繕、保全をしていること
- 環境影響:訪問客向けに自然的な場所を訪れる場合の行動基準を設けていること
このガイドラインは必ず守らないといけないというものではなくて、観光に関わる事業者が自己分析をするのに使ったり、もっというとこのガイドラインに沿った取り組みができている場合は所定のロゴマークを使えるので箔をつけるのに役立ちます。
ただ、まだ実際に使っているところはほとんどないようでこの資料でも本書でも紹介されているのは岩手県釜石市が唯一検討しているかのような記述でした。活動が空振りに終わらないことを祈るばかりです。
あとがき
事例1
本書はどちらかというと事業者側がどうすべきかとかどんな活動事例があるかに重きを置き、ページが割かれていますが訪問する側にもサステナブルな観光を築き上げるには責任があると思います。
- ゴミを落として帰らない
- 公共交通機関を使う
- 市町村や公式の観光協会が推奨している事業者のツアーや施設を利用する
など、どれも簡単ではないでしょうか?
旅行を頻繁にする人もいれば年に1回するかどうかという方もいるでしょうが、旅行好きの自分としては少なくとも「自分のせいでお気に入りの観光地に行けなくなった」とか「環境が汚されて同じ景色を見られなくなった」なんて思いたくはないので旅行する側、観光する側としてもサステナブルな行動を心がけていきます。