【2022年読書レビュー】40℃超えの日本列島でヒトは生きていけるのか

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この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。

まえがき

今回紹介する本

『40℃超えの日本列島でヒトは生きていけるのか』です。

ひとつの図をお見せします。

日本全国が40℃超えの天気予報です。これ、コラ画像ではなく環境省が地球温暖化への危機意識を高めてもらうための教材として作成した2100年の天気予報というものです(環境省 「2100年 未来の天気予報」(新作版)の公開について より抜粋)

本書の概要

どうでしょう、この図の通りになると信じるでしょうか?大概の方はNOでしょう。

しかし10年前、15年前を振り返った時に「夏は毎日35℃を超えます」と言って信じた人がいるでしょうか?天気予報で35℃を超えるだけでもおかしいと思っていたのに今となっては「真夏日」のはずの30℃すら「暑さがひと段落したな」と感じるのです。

自分は決して絵空事ではないと捉えています。「地球温暖化いうても今の生活があるし車は必要だし」こんなことをみんなが言っていたらこの天気予報は現実になるとみています。

じゃあそうなった時に問題になる

  • そんな状況で人間が生きていけるのか
  • 生きて行けるとしたらどうしたらいいのか

この2点の問いに答えてくれるのが本書です。すでに瞬間的には40℃を超えることが珍しくないからこそ知っておきたいことです。

本書の構成

著者は医師であり専門分野として体温を取り扱っているという非常に珍しいお方です。

体温に関する情報は学際的知識(いろんな分野を横断する知識)が必要ということで本書は多岐にわたるジャンルを網羅するように構成されています。

ジャンルがどれも違うので体温というテーマは共通しているのに断片的に勉強しているような感覚でした。

本書の構成
  1. 環境と人の関係
  2. カラダの温度
  3. 体を冷やすツール
  4. 温度を感じる仕組み
  5. 無意識による体温調節
  6. 野生の動物に学ぶ暑さ対策
  7. 熱中症のあれこれ
  8. 運動による体温の変化
  9. 体温の差
  10. 温度や暑さに関わる遺伝子

40℃越えの世界でいかに体温を下げるか

ヒトは恒温動物(外部の気温によらず体温を一定に保つ動物)なので暑い時は体温を下げる方向(例:汗をかく)に、寒い時は体温を上げる(例:身震いをする)方向に対応します。

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当然の話、気温が40℃を越えている状況というのは暑くなる側ですので人間としてはその中でどうやって体温を下げるかが生きるための鍵になります。

筆者は本書の冒頭のところで人間は40℃越えの世界でも生きられると結論づけていますが、じゃあ具体的に体温を下げる方法には何があるのかということで下の内容が紹介されていました。

  • 皮膚血管
  • 汗腺
  • 毛がなく細く長い四肢

皮膚血管

血管は文字通り血液を流す管です。ここで注目されているのは人の体には無数の血管が張り巡らされている中で皮膚を走る血管です。

なぜこれが大事かというと筋肉と脂肪に覆われた人のカラダの中心から熱を逃す経路となるからです。

カラダが暑くなったらすぐに熱を放出したいーですが、脂肪や筋肉が断熱材として機能するためにそのままではカラダが冷めません。これでは困ります。

そこで皮膚血管の出番です。皮膚血管は血液を流す上でのバッファ的になっているので「ちょっと今流したいんだけど!」こんなニーズにも答える形で体を冷やすことに貢献するんですね。優れものです。

汗腺

「はいはい、汗のことね。汗をたくさんかくってことでしょ?」と思われた方、著者からすると少し誤解があるそうです。

1つは人間と同じように汗をかく動物も気温が上がると発汗による体温調節がうまくできなくなっていること=人みたいに汗かいてうまく体温調節できるのは特別なこと。もう一つはその違いが人と動物の違いにあることです。

人の汗腺で(主に)発達しているエクリン酸は皮膚全体に分布しています。つまり汗をかくスポットがたくさんあるということです。しかしここで強調されているのはそんなことではありません。それは

汗をかくときにエネルギーを使うこと

です。これにより汗をかくという作業がカラダから熱を発散する手段になってるんですね。

毛がなく細い長い四肢

普段意識しないのがこれ。こんな細い毛がと思われるかもしれませんが、今の人間ですら寒い時には毛が立つことで皮膚の近くに断熱層を作っているんです。もっと毛があったら今頃夏はどうなっていることか。

その上で人間は細い腕と足でもって表面積を確保することで体温を下げられるようにしています。

究極は冬眠ならぬ夏眠?動物に学ぶ暑熱方法

人間はその気になればクーラーを使うという手段がありますが動物はそうではありません。本書の第6章ではその手段が使えない動物たちの暑熱方法が紹介されています。

  • 呼吸数を増やすパンティング
  • そもそも体温調節を諦める
  • 基礎代謝を下げる
  • 夏眠、夜行型にシフトする

パンティング

犬が舌を出してハァハァしてるやつです。

10年以上前に放送されていたトリビアでも紹介されていた手法です。人間がするには非現実ですが・・・。

体温調節を諦める

外部気温が上がると基礎体温の振れ幅が増加する動物がいるようです。人間も進化すればできそうですが今のまま基礎体温41℃とかになったらそのまま死んでしまいそうです。

基礎代謝を下げる

体温を上げないためには入ってくる熱を逃すか体内で作る熱を減らすかの2択であり、これは後者の方法に当たります。

ただし基礎代謝を下げるということは生きるための機能の何かを犠牲にすることなので「基礎代謝下げるために痩せるぞ!」というのが果たして将来の正解になるかどうかというと怪しいなと自分は思います。

今でも太っちょの方が暑がりで痩せ気味の方がそうでもなさそうなのを見ると効果アリかもしれませんが。

夏眠をとる

面白いなと思ったのがコレ。

人間も夏眠とまではいきませんが、一部の国と地域ではサマータイム(夏の間は時計を早めて涼しい時間に動くような仕組みづくり)をしています。もはや昼間は活動するのをやめるという潔い方法です。

あとがき〜そもそも40℃越えにならないように

暑熱対策は応急対応、暑い状態にしないのが根本対応

あったりまえですが、最初っから暑くならなければこんな対策を考える必要すらありません。現代に生きている人からしたら未来の苦労より現在の楽ちんかもしれませんがそれはなんぼ何でも無責任。

本当に暑くなってしまったとして、じゃあ外で活動できますかといったら実際問題はかなりの制約が出てくると思います。

  • 室内でクーラーつけっぱなしで生活する
  • 屋外スポーツは禁止
  • 外を歩くときは肌着だけでOK

みたいな。こんなことにはなってほしくありませんから、対策を考える前に対策を考えなくてもいいように改めて地球温暖化問題に多くの人が目を向けてほしいなと自分は思いました。


次のようなかたが読むと日々の生活を改める上での学び、危機感が得られると思います。

専門的な内容とそうでない内容があること、他分野の情報を章に分けていることから全部読まずに好きなところだけ読むのも一手です。

  1. 地球温暖化のことを気にしたことがない
  2. いつも暑がりで暑いのが嫌
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