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身近な自然現象、災害を改めて認識できる一冊
『知っておきたい地球科学』を紹介します。
当たり前のように朝起きて、学校なり職場に行って、夜に帰ってきて家族や友達と遊んだり・・・。このような日常は何も起こってなければこそです。
10年以上も前から「ゲリラ豪雨」なるものが生まれてきたと思ったら、スーパー台風だの線状降水帯だの竜巻だのと日常を奪いにかかる自然現象が日本国内では増えています。ベースとして火山の噴火や地震の多い日本ですから、日常の中にもこうした非日常な出来事への備えが求められる時代でもあります。
本書では「地球・生命」「環境・気象」「資源・エネルギー」「地震・津波・噴火」の4つのカテゴリに分けて日本で安全に暮らすための基本的な知識が学べる1冊になっています。
地球科学を知る上で大事なのは「長尺の目」
本書の背景からして自分がどうしても気になったのはいつ南海トラフ地震がおこるのかとか線状降水帯を予測する方法があるのかといった話ですが、本書では頻繁に「長尺の目」という言葉が出てきます。
いくつか事例が挙げられています。
例えば地球温暖化のはなし。この言葉の通りで温暖化する方向に対して今は警戒されているわけですが、巷では「イヤイヤ今は超長期目線で見ると寒冷化しようとしているんだ。だから温暖化のことは気にしなくても良いんだ」という意見も耳にします。この「超長期目線では」というのがまさに長尺の目なわけです。産業革命以降に二酸化炭素の濃度が急激に増えているとは言っても地球の歴史からしたら”たかだか”数百年のオーダーです。
また、南海トラフ地震がいつ起こるのかというのもそうです。南海トラフ地震はこれまでにもある程度の周期で発生している地震なのですが、その周期というのが300〜400年と人間目線からすると「もう少し精度よく次はいつ起こるのかわからんものなのか」と思いたくなる気持ちは重々わかります。
が、それはできません。これだけ科学が発展してきた現在においても地震と噴火はいつ起こるのかを正確に予測することはできないのです。
とすると自分達にできることは何なのか。それは「いつ起こったてもおかしくないと思って暮らすこと」しかありません。いつ起こってもおかしくないと思えるなら非常用の飲食物を用意しておくでしょうし、職場や自宅から一番近い避難場所を調べることでしょう。
その辺、本書でも何をしたら良いかの具体的な行動ベースで提示されているものもありますので正しく知って行動に移した方がベターです。
自分が住む地域ではどんな自然現象(災害)が起こり得るかは知っておきたい
一口に日本といっても住んでる場所で人々を悩ませる自然現象は異なります。
北海道は台風があまりこない代わりに冬は大変だし、九州は雪は降らないかもしれないけれど台風はよく来るわ大雨がよく来るわで鉄道や道路に甚大な被害を与えています。
なのでどうせ対策をするからには、自分が住む地域で特に警戒をしておかないといけないのは何なのかを把握しないと効率の悪い災害対策になってしまいます。いつ来るかわからない自然災害のために「持ち物は一切持ちません」とか「常に災害を想定して毎日非常食だけ食べます」というバカなことをする必要はありませんが、全く何もしないのも考えものです。
現在の自分だと関西に住んでいるので南海トラフ地震の影響は少なからず受けることでしょう。台風もそこそこきます。なのでそれを踏まえて自治体が出しているハザードマップは確認して、最低限の準備もしています。
当たり前の毎日を裏ざさえする一つの手間としていつ来るかわからない災害がきても良いような準備をしておくことは大事です。