【2023年読書レビュー058】EVショック

今回紹介する本

『EVショック』を紹介します。


日本ではともかく、全世界的にはガソリン車から純粋な電気自動車(EV)への置き換えが進もうとしています。日本だと普及しているハイブリッドすらNGです。この点で日本は「EV後進国」であると著者は指摘しています。電気自動車にすることが本当にいいかどうかは別問題だと自分はずっと思っていますが。

このEVというのは自動車業界生じている大きな変革である”CASE”

  • Connected(車内ネット環境)
  • Autonomous(自動運転)
  • Sharing(シェアリングサービス)
  • Electric(電動化)

のなかのEに該当する話です。なぜ日本はEVの界隈で後進国になっているのか、この界隈でガラパゴスにならないようにするにはどうしたらいいかを、これまでEVしか乗ったことのない著者により解説されています。

自分は違和感を感じるこれからのEV戦略に必要な著者の提言

著者は日本がEV後進国である大きな理由として充電インフラがしょぼいことを挙げています。ガソリン車ならガソリンを給油すればいいだけなので、5分10分もすればEVでいう満充電状態に戻すことができます。対してEVは当然ながら充電という形になるのでどうしても時間がかかります。ここを少しでも急速充電かつ大容量充電できるようにすることが大事なのですが、日本の充電インフラは海外と比べて劣っているがために海外のEVのスペックを十分に発揮できなかったり、一回あたりの航続距離が不十分になってしまうことが問題であると述べています。

ガソリン車だったら大体500〜600kmと言われる航続距離(燃料が満タンから空になるまでに走行できる距離)に対して今の日本の充電インフラ環境だと30分充電で100km程度。これは確かに少ないし、一回に走行する距離に関わらず受電(今まででいう給油)の頻度が増えることは良くはないでしょう。


で、ここから私見を申し上げて恐縮ですが、そこまでしてEVを広める必要があるのかと、ずーーーっと思っています。確かにこれまでガソリン車を使ってきた人にとっては100kmくらいしか走れない車というのは不便でしょう。しかも時間もかかる。公共交通を使うにしたって、行きたい観光スポットとかって車を使わないといけないなら・・・という意見があるのもわかります。

ただ、このタイミングで移動距離に応じた明確な移動手段の棲み分けをしたらどうかと自分は思います。EVはそのまま導入を推進したらいいと思います。でも、無理にガソリン車同等を狙う必要はないと思います。例えば現在地から400km先の観光地に行きたいとしましょう。これまでは全てガソリン車で高速を使って移動していたかもしれません。これを

  • 近傍の主要都市までは新幹線なり特急なり高速バスなり飛行機で移動する。
  • そこからレンタカー(EV)を借りて最終目的地まで移動する

こんなのはダメなんですかね?日常使いで往復100kmも移動しないといけないような人はそうそういないでしょうし、いたとしたらこれまでがおかしい(そんな距離移動のためにずっと運転に時間を使うなんて勿体無い)と自分は思います。

インフラを整備するのはとても時間もお金もかかることです。EVは世界に歩調を合わせるために入れたらいいですけど、EVをこれまでのガソリン車がそうだったからといって無理して交通手段の中心に据える必要は一切ないと思います・長距離移動には長距離移動に適した交通手段にシフトして、痒い所に手を届かせるための手段としてEVを使う、こうしたら公共交通の維持にもなるし、ちゃんとガソリン車からの置き換えもできて悪いことはないと思います。

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