【違和感ありあり】GAFAMとS&P495の切り分け評価

まGAFAMだけに投資しておけばよかった

ここしばらく、こんな記事を見かけるようになりました。YouTubeでもよく見かけます。

S&P495で分かる ブーム化する「米国株投資」に隠れた”歪み”

日本の個人投資家が米国株投資へ殺到している。  米国株の取り扱いを得意とするマネックスグループの2021年3月期第1四半期決算資料によれば、マネックス証券における米国株の取引口座数は、この四半期に前年同期比で3.4倍に急増したという。米国株取引にかかる売買委託手数料収入も前年同期比で1.79倍の4億2500万円と急増しており、個人投資家による米国株への投資加熱がうかがえる。 …

この手の記事が何をいってるかというとこの2点です。

  • S&P500はこの10年、高いリターンを生み出してきた
  • でもそれってGAFAMの伸びによるものであって、GAFAMを除いた495社のリターンとしてはTOPIX程度しか伸びてない

要はS&P500がすごいんじゃなくてGAFAMがすごかっただけだってことです。これは極端かもしれませんが、これと同じ思考の人が何をしているかというといわゆるレバナスとかナスダック100連動の投信、ETFを購入することです。

自分が疑問に思う箇所

2つあります。

そもそも2010年時点でS&P500に入っていない企業がある

この記事で紹介されているグラフはGAFAMの時価総額とS&P500指数をもとにS&P495はいくつだったんだろうという計算をおそらくしていると思われます。

で、これはアップル、アマゾンの場合を確認できていませんが例えばフェイスブックがS&P500に組み入れられたのは2013年です(Googleとマイクロソフトは2010年時点で入っているのでこの分は問題なし)。

米フェイスブックをS&P500に組み入れへ=S&P

スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は11日、フェイスブック を12月20日の取引終了後から、S&P総合500種に組み入れると発表した。

少なくともGAFAMのうちフェイスブック(今はメタという名前ですが)がS&P500の伸びに貢献したのも2013年基準からの伸び分だけです。なのにS &P500に入ってなかった頃の2010年の時のを基準にして「こんなに伸びたんたぞ!」って言われてもそもそもS&P500にも入ってなかったやんかというお話です。

つまり、GAFAM側を過大評価してるやろってことです。それにこの指数は時価総額の加重平均なのでGAFAMががっつり伸びちゃったらGAFAMが2倍になるのと他の会社が2倍の伸びになるのでは全体への貢献度も変わってしまうわけでして、会社を個別で見たときに495社がしょぼいという話をするのは筋違いだと思います。

※こういう事情がある(小型株の方が伸びとしては大きいかもしれないのに時価総額としては%が小さいから商品全体としての伸びが大したことなくなってしまう)ので時価総額加重平均を推さない主張をしているかたもいますよね。

どこが伸びるかわからないから500社に投資してるんじゃないの?

結局これに尽きるんですけど。最初っからITが伸びると思ってたんならナスダックなりNYダウなり、なんならS&P指数のなかの情報技術セクターだけに投資できる商品を買えばよかったですよね。GAFAMを個別株で持っておけばよかったですよね。

GAFAMが伸びたというのは結果論、テスラが伸びたのも結果論、他の495社のリターンも結果論です。どこが伸びるかわからないけど、ある程度のフィルターがかかった500社だから多分これのどれかが伸びるだろうっていうのでS&P500を投資対象にするはずなんですけど、どうなんでしょう。

過去に自分はこんな記事も出していますが、S&P500って大型株にならないと組入されないので黎明期から大型株になるまでの伸びというのはそもそも取りこぼすわけです。テスラなんかそうですよね。だからS&P500よりも中型・小型株の詰め合わせ(S&P400とかS&P600、わかりやすい比較例だとVTIのベンチマークであるCRSP USトータルストックマーケット)の方がリターンが高いという結果も当然と言えます。

成熟してからの安定した伸びを期待するなら大型株、一発でかい伸びも含めて取り込みたい(成熟していない分のリスクもあるけど)なら中型・小型株が対象になると言えるでしょう。

自分がどんなものに投資していてこれからどうなる類のものなのか理解していれば「GAFAMしか伸びなかったんだ」とか「SP495はしょぼい」という話にはならないと思います。いくら思考停止でも成立するインデックス投資をするにしたって自分が何をしているかくらいはわかっておきたいところです。

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