この記事のもくじ
この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。
今回紹介する本
『新幹線100系物語』です。
東海道新幹線が開通してから登場した車両はこれだけあります。
- 0系
- 100系
- 300系
- 500系(20年以上経っても現役!今年2回乗りました)
- 700系
- N700系
- N700A系
- N700S系(最新型の車両。来年開業する西九州新幹線にも使われる予定です)
こんなにかわいい形をしていた100系。
35年の月日がたってこうなるんだから凄いですよね。
本書はこのうちの100系にまつわる開発から車両製造、そして幕引きまでの歴史を当時開発や製造、保守メンテなどに関わった人の談話も交えながら紹介しています。
- 0系からのモデルチェンジ構想
- 100系新幹線の基本構想
- 100系新幹線車両の開発
- 100系先行車の製造の運転開始
- 100系量産化とJR移行
- 100系と“エクスプレスキャンペーン”
- 100系の全盛期
- 後継車の開発と100系の終焉
「早く 快適に 安く」にこだわった100系新幹線
乗る方からしたら早く定時で着いてくれればいいから車両に興味を持つことは鉄道好きでもない限りありませんが、設計開発する立場からしたら様々苦労があってのものであり、感情移入を禁じ得ません。
100系新幹線は飛行機と対抗するために「早く 快適に 安く」が基本コンセプトだったようです。
- 早く:東京〜新大阪、新大阪〜博多の3時間切りが目標
- 快適に:イメージアップと乗り心地改良
- 安く:製造コストの削減
今よりも技術がないなかで駆動方式や使用する材料をどうするか、先端形状をどうするかなど検討項目は山積みでした。また、現在の東海道新幹線の原則である「全車両の乗車人員の統一」(仮に遅延や運休が発生しても運行しやすいことやチケットの振替などの対応をしやすいことが狙い)が当時も念頭に置かれた上での内装の検討など苦慮したこと、改良したことが多岐にわたっていたことがわかります。
検討時には東北新幹線200系のノウハウも参考にされたそうですが、ここで自分は「なぜ他社にお願いするんだろう」と思ってましたがよくよく考えると当時は同じ国鉄。
JR東海と東日本に別れた今なら起こり得ない協力体制も国鉄という組織なら利点として存在してたのでしょう。
ものづくりのロマン
この本のいいと思ったところ
- 当時の関係者の苦労がわかる
- 新幹線の歴史を包括的に理解できる
そこまで新幹線を高頻度で使うことはないのですが、いざ乗るときはとてもワクワクします。ただワクワクするだけでなく、こういった裏側を知ると乗る時に持つ感情も変わってくるものです。
具体的には開発、製造、保守全てに関わってくれた方への感謝でしょうか。
本書の内容に関連して思ったこと
内容を知ると、全盛期を迎えて早々に300系、500系と後継車両が出てきて幕を引いたのは非常に寂しく感じます。携わった方々はどんな思いだったのでしょう。
現在もっとも長老なのは500系新幹線。鉄道ファンからは非常に評価が高いながらも既に20年選手です(新幹線車両自体の寿命はだいたい10年とか15年と言われます)。
運営する方からしたらさっさと置き換えた方がいいのかもしれませんが、一個人としてはもうしばらく現役でいてほしいですね。関西に住んでるので山陽新幹線の「こだま」なら乗るチャンスあり。
この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人
おすすめ度は10点満点中9点です。
この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。
- 鉄道、ものづくりが好き
- 〇〇の裏側を知るのが好き
最新のものばかりに触れていると昔のものが“ダサく”見えたり、チンケに見えたりするかもしれませんが、古きは古きでいい面があります。
新しいものにも古いものにもリスペクトですね。