【2022年読書レビュー】鉄の日本史ーー邪馬台国から八幡製鐵所開所まで

まえがき

今回紹介する本

『鉄の日本史 ーー邪馬台国から八幡製鐵所開所まで』です。

本書の概要

『鉄は国家なり』この言葉をご存知でしょうか?ドイツのビスマルクが言った言葉です。今となってはアルミだのチタンだの、カーボンなんちゃらなど鉄以外の材料が世の中ではたくさん使われていますが車に飛行機(鉄の塊が飛ぶという表現もあります)に鉄道(鉄の道という文字通り)に建物に・・・と鉄と産業、社会の関係は非常に密接です。

日本の鉄鋼業では日本製鐵という会社が最も有名ですが、こちらで紹介されている鉄鋼材料(厳密には粗鋼と呼んでます)の生産量推移はこの通り。

日本は高度経済成長期と呼ばれた1960年ごろから倍々に生産量が増えて現在は1億トンレベルで落ち着いています。そして近年経済成長が著しい中国は2000年ごろから爆増。このグラフからも経済成長と鉄にはふか〜い関係があることを理解してもらえるかと思います。


本書は鉄の日本史となっていますが前半では海外での歴史も紹介されています。鉄の話と言ったら明治くらいに八幡製鐵所ってのができたのしか知らない!という方々がほとんどのはず。

大多数の方にとっては豊富な学びが得られる内容になっています。

本書の構成
  • 中国・朝鮮の古代の鉄文化
  • 初期の鉄器文化
  • 古代の鉄生産技術
  • 中世の鉄生産
  • 江戸時代の製鉄技術
  • 幕末の鉄生産事情
  • 官営製鉄所の創業

古代製鉄史の4つのポイント

本書では日本列島に鉄器がやってきてからの時代を以下の4つに分けられるとしています。

鉄器の流入

縄文時代の晩期から弥生時代の前期のことで、現在の九州を中心に鉄製品が出土されているとのこと。

今でも地図を見れば九州は中国や朝鮮半島と距離が近いことから、さまざまな文化が九州を通じて伝播していくのは自然なことですね。

鍛冶加工・製鉄の開始

古代の1つに「旧石器時代」とか「新石器時代」とあるくらいなので昔は石器で必要なものが作られていたのですが、鉄器が普及するにつれてどんどん鉄でいろんなものを作るようになりました。

その中で切って・成形して・研磨してという程度ながら鉄製品の加工や自前での鉄生産を始めました。ただ書いてるのは鉄鉱石が原料なことだけでどう鉄を溶かして作っていたのかまでは言及されていませんでした。

鍛冶加工・製鉄の本格化

加工についてはカナヅチやヤスリなど鍛冶加工に必要な道具が流入し始めた時期、製鉄については「炉」を使った生産が始まっていたそうです。

面白いのは地方によって炉の形がさまざまだったこと。今と違って日本という一つの国というよりは地方地方で争いがあった時期とはいえ文化やノウハウやどんどん広がっていくと思っていたので意外でした。

製鉄の国家事業化

国家レベルで着手したのは明治の八幡製鐵所が最初だと思ってましたが、太宰府や多賀城(宮城)で古代国家単位による鉄の生産が行われていたようです。ここでも先ほどと同様に地方によってやり方に違いがあるということでいかにも閉鎖的な日本という感じがします。

これからの鉄づくり

今の世の中を牛耳っているのはこの三銃士。

  • ESG
  • SDGs
  • カーボンニュートラル

特にカーボンニュートラルと比べると鉄づくりは非常に肩身が狭いです。というのも高校化学勉強していたらわかりますが、純粋な鉄を作るには酸化鉄から酸素を取り除く必要があります。

その時に二酸化炭素が発生してしまうんです。鉄づくり≒二酸化炭素の発生と言って差し支えありません。

産業が発展するときにはいかに量を作るか⇨品質を良くするという順番になりがちです。少なくとも日本は鉄鋼生産量は横ばいになっているので、これからは環境への配慮という品質向上に努めるためにどう変わっていくのか非常に興味ありです。

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