【2022年読書レビュー】観光立国・日本〜ポストコロナ時代の戦略〜

今回紹介する本

『観光立国・日本 ポストコロナ時代の戦略』です。


日本政府観光局(JNTO)から公表されている訪日観光客数は2022年10月最新で498,600人でした。とだけ言われてもこれが多いのか少ないのかわからないので、こちらで2013年以降の年別の訪日観光客数をJNTOに掲載されている統計資料から集計しました。

2022年は10月時点です。コロナ前の2019年は月換算だと250万人くらいなので50万人弱というのはまだ少ないとも言えるし、2021年比だとたった1ヶ月で1年分を上回っているので〜〜〜%増という言い方もできます。よくネットニュースで「前年比で20倍!」みたいな煽り見出しをつけられる典型例です。

データの基準によってものはいいよう、見せようになるので注意したいところです。いずれにしても去年よりはマシになっていることは断言できます。

さて、足元も再燃している気がしますが、コロナ前はインバウンドで儲けようという動きがありつつ、各観光地に目を向けてみるといろんな迷惑を被っていて大変だという報道がよくされていました。

ゴミがそこらじゅうに捨てられているとか混雑しすぎて観光どころじゃないとかですね。だから皮肉にもコロナですっからかんになった京都に対して評判がよくなっていたように記憶しています。

本書ではいよいよポストコロナ(アフターコロナでもよき)で再び観光業で儲けていこうという時勢にあってこれからの観光業が解決すべき課題や現状を現場の生の声を添えて記されています。

観光業は水物だから当てにしちゃいけないとも言われますが、著者は産業としてありという立場です。ちなみに自分も同じです。製造業がーって言いますけど、そもそも日本は資源がないからこれまで「加工貿易」で発展してきたわけで、資源を輸入できなくなったら製造業こそおしまいです。TSMCが熊本に工場を作るみたいな話は出てくるかもしれませんが、製造業を全面に推している人たちにとってそれは本望ではないでしょう。

観光資源は輸入しなくてもいいぶん、他の産業に比べればマシという見方はできないでしょうか。

本書の目次
  • 観光業の現在地
  • 地域の価値を高める
  • 観光公害を防ぐ
  • デジタル化とSDGs
  • 近づく万博、揺れるIR

観光に関わる人に求められる「ツーリストシップ」

本書では観光公害、またはオーバーツーリズムの具体例として以下を紹介しています。

  • ゴミのポイ捨て
  • 住宅を店舗と勘違いされて侵入される
  • 持ち込み禁止の飲食店なので飲食物を持ってくる

確かに、「郷に入りては郷に従え」ができていない観光客はコロナ前だと頭数が多いこともあり目立っていた気はします。

こうした現状を踏まえて観光公害を防ぐためにCHIE -NO-WAという一般社団法人では「ツーリストシップ」という考え方を提唱しているそうです。想像に難くない、「スポーツマンシップ」にちなんだ造語です。

「住む人・訪れる人・働く人、観光地に集うすべての人が意識したい心構え」と定義しており、訪れる人・訪れられる人(=観光地界隈で住んでいる人など)が取るべき振る舞いについてきちんと理解しようというものです。

それぞれ次のような指標が提示されています。本書の場合だとCHIEーNOーWAの取り組みと京都市の事例が紹介されていました。

受け入れる側が気をつけるべきこと
  • 騒いではいけない場所を事前に周知する
  • 地域のルールや習慣を伝える
  • 地域の自然環境や景観に配慮しながら、環境にやさしい事業活動を行う
  • 日常的な美化活動、緑化活動を行う
訪れる側が気をつけるべきこと
  • 市民の生活に敬意を持って地域のルール、習慣を尊重した行動をとる
  • 安全・安心に過ごせるように事故や感染症に注意して行動する
  • 混雑している時間帯はなるべく避ける

まぁ、言ってることは当たり前かと思います。どうやって実践、浸透させられるかですね。

観光スポットを探すために市町村や都道府県のHPを調べることはあっても、その中でわざわざこうした情報を目にしますか?ってことです。飲食店なり観光スポットに掲示できればベストですが相応のコストがかかりそう。

インバウンド需要で儲けようというのはもはや国としてやってることなので政府主体で「訪日観光客の皆様へ」みたいな案内を大々的にした方がいいのかなと思います。あとは訪れる人側のモラルにかかってますが・・・。

自分も気をつけて行動します

本書では訪日観光客だけではなくて国内旅行のお客さんの事例、対策も紹介されています。わかりやすいのはさまざまなスポットの有料化です。

本来はそんなことしなくても(観光公害とは別問題で有料にして収益とればいいとは思いますが)訪れる側がきちんとわきまえていればいいものを、できていないからこんなことになってるわけですが、そこそこ頻度で旅行に行く身としても気をつけたいです。

観光地になる場所って実は住宅が近くにはない方が多いと思っていたのですが(逆にいうと住みやすいとされる場所にはめぼしいスポットがなかったりする、仙台みたいに)、例えば長崎なんかは鍋冠山公園に行く途中に使えるエレベーターが住民用に作られているものだったりして地域との距離感がめっちゃ近いなと実感しました。

自分だけが楽しければいい、じゃなくて次に訪れた時にも快く迎えてもらえるように訪れる側が主体となった行動が必要かと個人的には思います。

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