この記事のもくじ
- とりあえず消費税率を下げて欲しいと思っている方
- 消費税は下げて欲しいけど国民へのサービスが悪化するのも嫌な方
はじめに
2021年9月時点での消費税率は?
基本は10%、食品や新聞などは軽減税率で8%。
少し前に日本の消費税は海外諸国と比べてどうかという記事を出しました。海外諸国と比べて決して高い水準ではないものの、日本経済のノリがいまいち悪い理由として
- 消費税をむやみやたらと上げるからだ!
- 国民から税金を搾取して実質使えるお金を減らすようなことをしているからだ!
と定性的には主張する意見をよく見かけます。自分もその気持ちは分かりますし、税率が上がった直後は「ここが8%のままなら・・・」と思ったことが頻繁にありました。
が、本当に消費税を8%とか5%、もっというと消費税を一時的にでも廃止して経済は回復するのかというと気になるところです。加えていくら国債を発行するという手はあるにしても税収面には明らかに影響します。
ということで今回は
- 日本の税収と消費税の位置付けの確認
- もし消費税を緩和した場合のたられば検証
を紹介します。なお前回紹介した記事はこちらです。
消費税導入以降の税収の推移
財務省のHPに元データはあるのですが、見づらかったので自分でグラフにしました。一つ目は消費税による税収額とすべての税収に占める消費税の割合です。
1997年に5%、2014年に8%、そして2019年には10%(軽減税率は8%)に引き上げられているのにあわせて税収も跳ね上がって全体の税収に占める割合が増えています。
全体の税収に占める割合が増えているということは所得税その他の税金は消費税に比べると上がっていなくて、国からすると消費税を税金徴収の主軸に据え置いていることがわかります。
別に消費税を上げなくても所得税率を上げるとか法人税率を上げると言った手段で税収を増やしたっていいわけですから。
続いて消費税による税収と税抜き価格での消費額を突き合わせたグラフです。例えば消費税10%として税収が10億円だったら税抜き価格でいうと100億円の金銭やり取りがあったことになります。この100億円の部分の推移です。
1つ目のグラフから明らかですが、消費税による税収が増えたのは
消費額が増えたからではなくて税率が上がったからだけです。
別に税率5%から10%に上げなくても一般ピーポーや会社がこれまでの倍のお買い物をすればそれだけで税収も倍にできますが、そうはなってないということです。
ここは個人的意見ですが、資本主義下で経済がちゃんと回っていればそうなるべきですが、残念ながら税率5%の頃の推移(1997~2014年)を見ると税収=税抜き前の消費額は横ばいなので
- 国民や会社の収入が増えておらず消費を増やしようがない
- 収入は増えているけど社会保険料が上がったせいで手取りは一緒で消費を増やせない
- 手取り収入が増えたけど貯金に回して消費を増やしていない
のどれかと言うことになります。一番影響しているのは1点目だと自分は思っています。
というのも厚労省に賃金推移が載っていますが、平成5年、つまり消費税が5%になった頃から右肩上がりだった賃金が見事に横ばいです。
これで税率変えずに消費が活性化して税収もUPなんてなるはずがありません。
もしも消費税を減税したらどうなる?
こんなこと言ったら反感買いそうですが、消費税を下げても経済活性化にはならないと思います。
そう思う理由は次の通りです。
- 税率が下がっても自由に使えるお金の増えしろはわずか
- 日本人の気質だと現金貯金に回る可能性が高い
税率が下がっても自由に使えるお金の増えしろはわずか
例えば年間に消費税のかかる買い物を税抜きで200万円しているとします。今だと税率10%なので20万円、合わせて220万円の出費です。これが減税となった場合に自由に使えるようになるお金は
- 8%:4万円
- 5%:10万円
- 3%:14万円
- 廃止:20万円
です。もしこのお金をフルに使ってくれたとしても税率を下げたことによる税収の落ち込みは取り戻せません。消費税5%にした場合ならこの方には年間200万円ではなくて400万円消費してもらわないと税収20万円にはなりませんがそんなことにならないのは明白でしょう。だって自由に使えるお金は10万円しか増えていないんですから。
日本人の気質だと現金貯金に回る可能性が高い
消費税による税収だけ考えるなら浮いた分消費してもらえるのが一番よくて、次点は株式投資などに回してもらって企業の事業活動を活性化することですが、日本人の現金大好き気質だと浮いた分は貯金に回して終わりでしょう。
まったく状況が違いましたが2020年に特別定額給付金が10万円支給された時ですら従来よりも消費に回すではなく目先の生活費、納税とか貯金に回すとしか回答が大半です。
このような層に年間数万円の減税をしたところで無意味ではないか?というのが自分の意見です。
どうせ減税するなら〇〇税
減税するなら消費税ではなく所得税、住民税だと思います。理由は次の通りです。
- 消費税は現在働いていない世代からも確実に税金徴収できる手段
- 所得税、住民税の減税なら働いている現役世代が報われる
年金でいう払い損、払い得みたいな世代間格差をなくそうとするならむしろ全世代から回収できる消費税は残しておいて、もっと上流の所得税、住民税(もしくは企業に対して従業員への給与引き上げ分に使うことを確約させたうえで法人税を引き下げる)とした方が有効ではないでしょうか?
減税分については単価の高いもの、例えば車や装飾品などいわゆる贅沢品に対して新たに課税するとか法人税を引き上げてカバーすればいいでしょう。
全部が全部現金で蓄えているわけではありませんが、日本の企業では内部留保といってキープしてあるお金が増えているので特段問題にはならないと思います。
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まぁ、一国民としては下げてくれれば嬉しいですが、ないところからお金が湧いてくるわけではないので消費税の引き上げはしょうがないかなと思っています。あなたはどう思いましたか?