【2023年読書レビュー038】説明がうまい人はやっている「数学的」話し方トレーニング

「言葉」に関することだけど、数学

『説明がうまい人はやっている「数学的」話し方トレーニング』を紹介します。


学校で勉強する科目は大きく文系科目と理系科目に分けられます。

  • 文系科目:国語、社会、英語
  • 理系科目:数学(算数)、理科

それぞれ別の学問であるにもかかわらず、どういうわけかこれらのグルーピングで勉強の好き嫌いも別れているのは大変不思議な話ですよね。

本書は「話し方」に関する本です。話し方ということは言葉の使い方に関することだと捉えるとゴリゴリに文系要素な話に思えますが、タイトルの通り「数学的」であることが上手な説明のために大事だ、というのが本書の趣旨です。理系科目は嫌い、でも上手な説明ができないという方にとっては「なんで数学なんて出てくるんだよ」と思われていることでしょう。

でも大丈夫です。あくまで大事なのは「数学的」であることです。「数学」ではありません。数学で使われる数式が解説の中で登場はしますが、きっと大丈夫、だと思います。それすら嫌と言われたらそこまでですが・・・。

少しだけ私見をここで述べておきたいと思いますが、数学って論理立てて使う式を決めたり計算をしてある問いに対する答えを出したり、「〜〜であることが証明できる」という最終着地点まで行き着くことをゴールにしています。

なので数学は理系科目ではありますが、本書で取り上げられているように説明というジャンルと非常に相性がいいのも当然だとは思います。全然そんな意識はしてませんでしたが笑

「数学的な説明」に必要な5つの要素

  1. 定義
  2. 分解
  3. 比較
  4. 構造化
  5. モデル化

この5つです。

定義

数学では何をするにも「定義」が必要です。偶数って何?とか三角形ってなに?とか(これは初歩的が過ぎましたね笑)、少し踏み込むと「三角形が合同であるとは?」なんかもそうです。中学数学で合同の証明問題を勉強すると思いますが、何が合同か知らなかったら証明もクソもありません。

きっころ
きっころ

ちなみに合同とは次のいずれかに当てはまることを言いますよね。

  • 3つの辺の長さが全て等しい
  • 2つの辺の長さとその辺が挟んでいる角度が等しい
  • 1つの辺の長さとその両側の角度が等しい

説明という一般的な話においても一緒です。説明に使う言葉の意味だとか商品のスペックを説明するのに使うグラフや数字があるなら、それはどんなものか事前に明確にしておかないと聞き手と話し手の間で認識の齟齬が生じること間違いなしです。

分解

数学だと素因数分解ってありますよね。これをすることで(方程)式がシンプルになって求めたいxがわかるという優れものです。

問題解決においても「問題を細かく分けて対処する」ことが手法の一つとしてありますが、説明の世界でも同じように重要だということです。

比較

1+1=2、3<5。どちらも立派な比較をしています。左辺のものと右辺のものを「比較」してあれやこれやと議論するわけです。説明の時に何かと何かを比較するというのは言われなくてもやってるでしょうから、ここは特に新鮮味ないかも。

構造化

少し聞きなれない言葉が出てきました。構造化。

ここでいう構造化とは「今見えているものの作りを理解すること」だと捉えるといいでしょう。何かの事例で説得力を持たせるには1個だと少し心許ない。2つでも3つでもいいから複数並べられると「確かに!」と思うことでしょう。

そのためには自分が話したいことの構造を理解しておかないといけないと。ただこれはどうだろう・・・。会社のプレゼンの世界ではそんなに使わないかなと思いました。次のモデル化はさておき。

モデル化

最後がモデル化。モデル(性質を明らかにしたいものについて、その振る舞いを言語化し性質を理解できるようにしたもの)を使って自分の主張の裏支えをしてもらおうということです。本書で書かれている例をそのまま引用させてもらうと

就職活動(採用する側)において偏差値の高い大学の学生を優先的にリクルートしたい
  1. 主張:偏差値の高い大学に通う学生を優先的に採用するべきだ
  2. 理由ステップ1:採用するからにはできるだけすぐに活躍できる人材を確保したい
  3. 理由ステップ2:ある調査において偏差値の高い大学の学生ほど即戦力として活躍する確率が高いという結果が出ている

こんな具合ですね。本書でも述べられているように現実社会でそうだというのではなくてあくまで仮の話としてそういう法則があったとしたらというだけのものです。


ちなみにここにも私見を入れるならば偏差値が高い≠仕事の出来不出来ですが、いわゆる仕事ができる人である確率は偏差値が高い人の方が高い、というのは経験則的には事実だと思います。

もちろん、いろんな仕事があるので出来不出来の以前に向き不向きの問題があるので、ごく一部の事例を持ち出して「偏差値なんて関係ない」という意見は慎んでもらいたいし、自分もそれくらい理解しています。そりゃ東大行くのとスポーツ選手として一流かどうかは無関係だし、自分が勉強できるかどうかと人に教えられるかどうかは別物ですよね、例えば。

ただ、ある程度頭を使う=学校の勉強の世界の理解が必要な仕事であれば偏差値が高い大学に通っている方が地頭はいいわけですから確率的には仕事ができるんだろうというだけです。


すみません、だいぶ話を逸せてしまいましたが上手な説明においては数学的な考え方が大事だ!!ということだけは頭の片隅においておいてもらえれば幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA