この記事のもくじ
はじめに
温暖化を防ごうという趣旨は同じなのにカーボンニュートラルという言葉が出て以来EVやら洋上風力やら次々と話が進みつつあります。人ってSDGsもそうですが新しい言葉に弱いんですかね。
さて、今回はカーボンニュートラルに大きく関係するワード、”カーボンプライシング”とはなんぞやを紹介します。
単に自分が理解したかっただけなのですが。
なお今回の記事は世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会をもとに紹介します。
それ以外の場合は原則として環境省の資料を活用しています。
カーボンプライシングってなんのこと?
その資料によると「市場メカニズムを用いる経済的手法」だそうです。さっぱりわかりません。自分は「経済の動きにカーボンニュートラルに向けた動きをリンクさせること」と理解しました。それが細かいことを言うと炭素税とかクレジットと呼ばれるものだと思います。
このカーボンプライシングという考え方、一番最初に導入したのはいかにも環境第一で活動してそうな北欧の国、スウェーデンです。現在は世界銀行の調査によると64カ国で導入されています。
予想に容易いのですがヨーロッパは全体的に積極的ですよね。よーく見るとわかるのですが既に日本は炭素税が導入されています。そんな意識は全然なかったのでびっくりです。
カーボンプライシングってどんなものがあるの?
この資料のなかでは大きく4つ知られています。
- 炭素税
- 排出量取引制度
- クレジット取引
- 国境調整措置
炭素税
CO2の排出量に応じて課税するというものです。カーボンプライシングというとこのイメージではないでしょうか?
メリットは
- CO2排出量を削減するモチベーションになる
- 税収として入ってきた分は省エネ技術や再生エネルギーの開発資金にできる
- CO2排出によって恩恵を受ける人がそのコストを負担する仕組みになる(受益者負担みたいなもの)
デメリットは
- 課税なのでマイナスイメージがある
- 必ずしもCO2削減につながるともいえない(金さえ払えばいいの精神の会社がないとは限らない)
といったところでしょうか。
なお、日本では既に炭素税が導入されています。「でも炭素税って名前の税金はないよね?」そうです。名前は違います。次の通りです。
身近なものでいうとガソリン税です。車に乗っている方なら誰しもが気付かぬ間に払っています。その他税金は直接は払っていませんが、これらのコストがサービスや商品価格にのっているとすると結局消費者が間接的に税金を払っていると言えます。
で、この税金の水準がどうかというとこちら。
排出量取引制度
文字通りです。具体的には
- 各企業に対してCO2排出量の上限を決める
- それよりも多いところと少ないところの間で排出量の枠を取引する(お金で)
です。取引するときのお金の安定性をどうするかとか業種によってCO2排出がある程度不可避な電力会社とか鉄鋼メーカーの扱いをどうするかといった検討事項は存在します。
日本ではまだ導入されていないのでこれからに注目です。
クレジット取引
クレジットというのは結局上と同じで排出権なのですが、CO2削減をした会社がその商品を売るときに「この商品はCO2削減をしたものです」として付加価値扱いするものです。
商品を購入する側は排出権を手に入れられますし、商品を売る側はお金になるのでwin-winというわけです。
国境調整措置
CO2排出にかかる関税みたいなものです。他の国がCO2排出にたいしてコストをかけているのにCO2排出削減をろくにしないで安く売ろうとする国があったら不公平ですよね?それを防止するために輸入時点でコストを上乗せして競争力の公平化を図ろうと言うものです。
一般市民は何を知っておくべき?
やること自体は国単位とか企業単位になるので一般ピーポーは関係ないと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
例えば自分が使っている自動車の税金が上がるかもしれないし、CO2排出が相対的に少ないと言われているバスや電車の利用料金が下がるとかあるかもしれません。
カーボンプライシングに関する会議は定期的に行われているようなのでだらだら過ごすなら3ヶ月に1回とか半年に1回みておくと損をしないかもしれません。