この記事のもくじ
はじめに
12月10日に与党(自民党及び公明党)により2022(令和4)年度の“税制改正大綱”が決定されました。
- 各省庁はこうした税制改正に関する要望を提出し、それらを元にして、与党の税制調査会が中心となって翌年度以降の税制改正の方針をまとめたもの
- いわば税制に関する法律改正のたたき台
ニュースを見てると賃上げ税制がどうのこうのとか、住宅ローン減税の改正が云々などと言っていますが、これらは税制改正大綱に盛り込まれている内容です。全てが反映されるわけではないのですが、これがたたき台になって一つ一つ税制が決まるのであらかじめ知っておくことで身の回りの税金がどう変わるのか分かった上で行動できるようになります。
先立って各府省庁から出された要望項目は163。
そこで以前衆議院選挙時にシリーズもんで紹介したように今回も4回に分けて各項目の中から気になったもの、影響しそうなものを紹介します。
前回含めてこれが2回目。
- 復興庁
- 総務省
- 法務省
- 財務省
- 文部科学省
- 厚生労働省
- 農林水産省
- 外務省は1件も提出がなかったので上記リストから除外しています。
- 文部科学省の1件廃止分(東京五輪に関連した税制措置)は除いています。
ちなみにこれ、IOC、IPC関係者の国内での活動に関連する所得をノーカンにするという内容みたいです。少なくともIOCの某会長なんて「ぼったくり男爵」なんだから税金もぼったくってやればよかったのに。
気になった要望項目はこれ!
国民の健康の観点からたばこの消費を抑制することを目的としたた ばこ税の在り方について(たばこ税)・・・厚生労働省
今回新たに出された要望です。
- 目的:国民の健康の観点からたばこの消費を抑制する
- 内容:上記目的に照らした課税のあり方を検討する
これから議論していきましょうという段階に過ぎませんが、当該要望の資料の中で過去の増税(平成22年の70円/箱、平成30〜令和3年60円/箱)による喫煙率の低下実績を上げていることから同程度の増税を検討しているのではないかと思います。
いよいよワンコインで20本入り一箱を買えなくなり始めた時代に喫煙者としては苦しい状況ですね。
雇用保険制度の見直しに伴う税制上の所要の措置(所得税、国税徴収法)・・・厚生労働省
- 目的:雇用保険法及び日本国憲法25条の遵守
- 内容:失業給付に対して課税されない仕組みづくり
今でも失業給付は課税対象ではありません(確定申告で言わなきゃいいだけ)が、雇用保険制度の一部見直し(失業者にとってはいい側)をするためにセットで出されている要望です。
食料・農林水産業のグリーン化に向けた税制上の所要の措置(所得税・法人税)・・・農林水産省
- 目的:食料供給に関する持続可能な体制の構築
- 内容:環境負荷低減の課題解決できる枠組みがあることを前提に、その枠組みに沿った施設整備に対して税制上の特例(多分減税か補助か)をもうける
コロナ禍&環境問題を受けて、本来の地産地消(究極は自給自足)が再び注目されています。
日本は農業の担い手がいない&自給率が低いことが問題であり、その点は現状持続可能ではないので問題提起することはGOODですね。
山林所得に係る森林計画特別控除(所得税)・・・農林水産省
- 目的:森林がもつ機能が十分に発揮されるようにする
- 内容:「森林経営計画」に基づいて山林を伐採、譲渡した場合のそれによる所得に対する控除を行う(延長措置)
- 森林の経営者(≒所有者?)が5年スパンで作成する文書
- 森林経営計画には路面整備や間伐、生育等の計画を記載する必要がある
具体的には収入に対して(収入ー必要経費)*20%、収入*50%ー必要経費ののうち金額が少ない方を総収入額から控除できるというものです。
わかりやすく収入1000万円、必要経費200万円とすると
- 普通の場合:1000ー200=800万円が所得
- この制度を使った場合:1000ー200ーMIN(800*0.2、500ー200)=640万円
ということで課税対象の金額がグッと変わります。田舎でもないと山を持ってる人はいませんし当然この恩恵は受けられませんが、国としては森林を管理してくれる人は貴重なのでこのような優遇は賛成です。
おわりに
各省庁の要望となるとさすがは具体的になるなと思いました(その点内閣府や記入長のは全体感を捉えて要望出してる感じ)。
普段「自分の〇〇は厚労省と関連してるんだ!」と思って行動している人は流石にいないでしょう。ということはこんな情報を集めるだけで一歩二歩先に行けるかも!?