この記事のもくじ
まえがき
約10年、右肩上がりのS&P500
これはここ10年のS&P500の指数の動きです。2022年3月時点に撮像していますが、後段の話のためにあえて2022年の推移は削っています。
あまりに綺麗な右肩上がり。
いくら警鐘を鳴らされたって「S&P500しか勝たん!」「ずっと自分の資産は増え続けるんだ!」こう信じてこの1年、半年で投資を始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
利上げ+ウクライナ+原油高=株価下落
そして時は2022年3月9日時点のS&P500の推移は年初来からこうなっています。
続いては綺麗な右肩下がりです。
ざっと最高値から10%ちょっとといったところでしょうか?
当然ながら2022年からつみたてNISAにせよ何にせよ、S&P500なら間違い無いと思って投資を始めた方はもれなく含み損を抱えていることになります。
足元の株価の下落はウクライナへのロシアの軍事侵攻を起点にしたものだと言われがちですが、それがなかったとしてもどっちみちアメリカでは中央銀行が利上げする前提で話を進めていたわけですから下落は必然だったと言えるでしょう。
心のどこかではわかっていてもいざ下落すると「こんなはずじゃなかったのに!」「S&P500なら大丈夫だといった人はどうやって責任取ってくれるんだ!」こんなことを思っている方もいるでしょう。
今回はそういう方への戒めとなるような記事となっております。
現在のS&P500は最高値からどこのいち?
最高値から13%マイナス
以降のデータは毎度お世話になっているInvesting.comから引っ張ってきた月別のS&P500です(3月はまだ終わっていないので8日時点になりますが)。
まず、月別で見た時の最高値は2021年12月の4515です。
これに対して2022年3月は8日時点で4170です。
単純に割り算すると87%、つまり現在は最高値から13%マイナスの位置にいることを意味します。
月別で見た時の最高値に対する立ち位置分布
先ほどは2022年3月だけ見ましたが、月別の指数を見たときに大体最高値からどれくらいの位置にいるもんなのかの相場観を知っておきましょう。
1990年1月以降を対象に算定した結果がこちらです。
ある月の価格が最高値なら100、最高値から10%低い価格なら90に分類されています。これを見てもらえればわかりますが、2022年3月の状況というのは右から3番目の棒グラフの部分に分類されてます。
それがどういうことか。
- この期間では常に最高値を更新し続けているのが当然と思っても仕方なかった
- 10%以上最高値から安い時はそうそうない=またいつか最高値に戻る前提なら絶好の買い時!
ということが言えます。自分は後先考えずに投資できる現金はその都度投資しているので大金を一気に放り込むといったことはできませんが、もしあったら何回かに分けて買うのに!と思ってます。
向こう10年は低調子でも長期運用前提なら全然OK
そもそもおかしいと思わない?調子が良すぎたこの10年
まずこの10年間プラスリターンが出続けたこと自体とんでもないことですが、この1〜2年はどう考えても異常だったと下の思いませんか?
自分で線を引きましたがこの1〜2年の株価の伸び=傾きが大きすぎますよね。この赤線でもずっと右肩上がりになるのでおかしな話なんですが、もし赤線のレベルに戻るなら今の株価はまだまだ高いってことになります。もう10%くらいは落ちて当然ということになります。
今一度わかっておきたいこと
もう一つ頭に入れといた方がいいと思うこと。それは
年率リターンは毎年同じリターンが続くわけではないということ。
これ、両方とも投資期間20年で見た時の年率平均リターンは3%です。
この10年のせいでリターンといったら「イメージ」の方だと期待しがちですが現実は緑線みたいなもんです。これを心得ておかないと「年率6%なんて嘘だったんだ」などと狼狽売りすることになってしまうので気をつけたいものです。
あとがき
自分からしたら今の株価は絶賛バーゲンの入口だと思ってます。確かバンガード社だかJPモルガンだかが出したレポートで
- 向こう10年の米国株のリターンは低調な見込み
と言われています。でもそれって割安で買えるってことですよね?
それをわかっておくと今伸びているから買うなんてことをしないで長期的に資産運用するうえで今は割安かどうかを見極められるようになります。
もちろん余計なことを考えずに毎月積立でもいいわけですが、もし一括で投資できるお金があるならば今高いかどうかだけではなくて将来のリターンを考えた時に割安かどうかを見る癖もつけておきたいですね。