この記事のもくじ
まえがき
このニュース、知ってますか?
かれこれロシアがウクライナに戦争をふっかけてから1ヶ月近くが経とうとしてます。西側の国々はSWIFTからの排除などの経済制裁をロシアに課していますが、投資界隈からの締め出しという措置をS&P、MSCI、FTSEという超有名な投資指数の提供会社が取りました。
そもそもMSCIとかFTSEって何?
投資の王道はインデックス投資、ある決められた指数=インデックスに連動することを目標とする投資方法ですね。
決められた指数があるということは誰かが指数を決めたり算出してくれないとそれについて行くこともできません。この指数を作ってくれる会社というのが世界にはあります。
- S&P500を作ってくれているのは?⇨S&P社(スタンダード&プアーズ)
ですよね?じゃあMSCIやFTSEが作ってくれている指数、何か知ってますか?
まぁ、インデックス投資は個別株投資とは全然性質の異なるものなので、どんな指数に連動しているか、極論知らなくてもいいのですがどうせならこのタイミングで知っておくと今後の投資商品を選ぶ時の知識として活かされるのは確かです。
今回はそれを知っている方にも知らない方にも上記の報道で自分達の投資環境にどんな変化があるのか、そして自分がこの報道に関連してどういった方針でこれから投資していくか紹介します。
各指数におけるロシアの位置付け
MSCIの場合
MSCIのHPを見てもらうと国の分類は下図のようになっています。
- 先進国市場
- 新興国市場
- フロンティア市場
- (分類不可)
の4つになっています。上の図ではすでにロシアの入れ替えが終わった後ですがロシアは新興国市場(EMERGING MARKETS)にいたのが分類不可(STANDALONE MARKETS)に移っています。
ちなみに英語版ですが今回の国の入れ替えに関するFAQが掲載されているので時間のある方はチェックしてみてはどうでしょうか(Q&A: RECLASSIFICATION OF MSCI RUSSIA INDEXES TO STANDALONE MARKETS STATUS)。
FTSEの場合
こちらもFTSEのHP(FTSE Equity Country ClassificationSeptember 2021Annual Announcement)から引用しています。これは2021年9月時点のものでやはりロシアは新興国にいます。
こちらは
- 先進国
- 新興国(第一グループ)
- 新興国(第二グループ)
- フロンティア
の4分類。グレーゾーンを第一グループの新興国に入れてるのかなぁという印象です。FTSEは会社としてのポリシー「In the Event Clients are Unable to Trade a Market」にロシアが違反している(現在モスクワの株式市場で売買が停止していることを指しています)ことを持って全ての株式指数からロシアを除外することをTreatment of Russia in FTSE Russell Equity Indicesにて発表しています。
ロシア除外による各投資商品への影響
MSCIの場合
こちらが作った指数に連動する超有名な投資信託といえば次の2つです。
- eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)
- eMAXIS Slim新興国株式インデックス
特にオールカントリーは「これだけ買っとけばOK」商品として挙げられるものです。よく米国or全世界と言われますが全世界派の方はほぼ間違いなく購入していることでしょう。投信ブロガーが選ぶFund of the year2021にも選ばれていることも人気の裏付けになっています。
それぞれ交付目論見書(新興国株式、全世界株式)を見てみると国別の割合はこのようになっています。
新興国の中ですらロシアはたったの3.9%です。全世界に至ってはロシアが見えないレベルでして、他国の比率から計算すると0.5%です。
FTSEの場合
FTSEが作っている指数に連動した投資商品は現在手数料引き下げ争いのトップにいるこちらです。
- SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンド
- SBI-SBI・新興国株式インデックス・ファンド
国別割合はSBIの目論見書等に記載がないので、同じ指数に連動している商品(全世界はVT、新興国はVWOというETF)での情報を見てみますとVWOは0.8%、VTは0.1%でした。
あとがき
全世界株式におけるロシアの影響は軽微
株式市場は仮想通貨市場とは違って「比較的」値動きは安定していますが、それでも1日に数%値動きすることもあります。そういう世界でロシアの比率はたかだか数%ということでもはや消えたところでそれに気づけるかどうかも怪しいレベルの存在感です。
おそらくロシアに振り向けていた資金はリバランスして他の国に回すだろうとはいえ、事実上ロシアの株式市場は紙切れに近づきつつあるので純粋にロシア投資分は「消える」でしょうが今後買う分についてはロシアは含まれないのであまり心配しなくてよろしいかと思います。
事実、自分はMSCI連動の2商品持ってますがロシアがこうなったからといって売却する予定はありません。
新興国は新興国たる所以あり
ただし、新規での購入は2022年3月いっぱいでやめます。これはロシアがこうなったことも間接的な理由ですがそもそも新興国株式なるものは次のような側面があると思っているからです。
- 新興国に分類されているだけのマイナス要素(政情不安とか株式市場の機能が発揮されていないとか)
- 実際、そういう印象のある国々が並んでいる
中国にせよブラジルにせよインドにせよですが、すでに市場が成熟しているアメリカとかイギリスに比べるといくら伸びに期待できるという定性的なメリットがあるとはいえそれ以上に
「この国に大事なお金を預けて大丈夫?」と考えたときにNOだ、という判断をしただけです。今までがフワッとした印象で「新興国に投資しとくか」と決めていたのも反省ですね。
こういうと「でもそうしたら中国とかの成長を逃すのでは?」という声もあろうかと思います。確かに今の伸びは享受できませんが本当に中国が世界のリーダーにふさわしい発展をしたときには中国が先進国インデックスに名を連ねるでしょう。自分はつみたてNISAと確定拠出で先進国株式を買っているので成熟した後の取りこぼしはしないで済むと思っています。
ということでこの記事は以上です。投資商品選びの参考にしてもらえたら幸いです。