この記事のもくじ
宮城で起こった税額控除のミス
つい先日、Yahooのトップニュースでこんな報道があったのを覚えていますでしょうか?
山口県の4630万円問題があったばかりなのでまた自治体への不満が噴出しそうですね。
そもそもやり方がまずいと思う現在のワンストップ特例
ふるさと納税した分を住民税から差っ引いてもらうにはワンストップ特例と確定申告の2通りの方法があることは以前にも述べました。このうち今回問題となっているワンストップ特例はというとこのようなフローになっています。
今回は②のところでしくっちゃったので一応悪いのは自治体、というのは確かです。ただ今回はじめて知ったことはこの②は市町村単位でやっているのかと思いきやニュースの本文を見ると「特例制度は、寄付を受けた自治体が毎年1月末までに寄付者のデータを居住市区町村に送る必要がある。県税務課の職員が・・・」となっているので②の線には都道府県も噛んでることになります。
その上でですが現行のワンストップ特例には問題があって起こるべくして起こった内容と自分は思います。
- デジタル化を謳っているご時世で紙申請
- いちいち市町村を噛ませる必要性が不明
デジタル化を謳っているご時世で紙申請
まずここですよね。しかも紙申請のところも大して記入する項目はないし(なんなら仕組みを作ればふるさと納税をする時点で伝送できる情報だし)、本人確認書類の写しを取らないといけないという完全アナログ。今時銀行の口座を開く時ですら本人確認書類は写真で撮ってWEB申請できる時代なのになぜ紙でないといけないのか意味不明です。
いちいち市町村を噛ませる必要性が不明
確定申告ならワンストップ特例でいう②の工程は発生しません。確定申告を使うなら寄付先の市町村がすることは何もなくて納税者と納税者が住んでいるところの税務署の2者です。確定申告なら寄付先の市町村がいなくても成立するのになぜワンストップ特例だといちいち寄付先の市町村が入ってくるのかこれまた謎です。
ワンストップはお手軽みたいなイメージを持たれていますが、ふるさと納税の一連の流れでそれぞれがしないといけないことは以下の通りで全体で見たらワンストップ特例の方が多いです。
確定申告ですること | ワンストップ特例ですること | |
納税者 | ふるさと納税⇨確定申告 | ふるさと納税⇨ワンストップ特例 |
寄付を受けた各市町村 | 返礼品、寄付金受領証明書など送付 | 返礼品、寄付金受領証明書など送付 ⇨納税者が住んでいる市町村への情報伝達 |
納税者が住んでいる市町村 or税務署 | 減税の手続き | 減税の手続き |
加えてワンストップ特例、見方を変えると「直接的な手続きをするのが面倒なので寄付先の市町村(+都道府県)に代行してもらっている」方法なわけです。納税者も申請してるといいつつ紙を送りつけるだけなので、手間としてやってないも同然です。
今回の件で宮城県への批判、出ていることでしょう。今の流れでは確かに宮城県がシクってますが、もっと原点に立ち返ると納税者に対しては「自分で申請するのを面倒くさがっているor確定申告もできないようなリテラシーの低さを棚に上げて市町村に代行してもらっているんだから、まずはこの制度に感謝した方がいいのでは?」と自分は思います。
本来原則が確定申告で、条件付きでできるのがワンストップ特例な訳ですから。
ぜひワンストップもデジタル化を・・・。
今回の件、デジタル化にしたところで防止できるお話ではないと思いますが、紙に書かれた情報を手打ちで集約している疑惑も十分にあります。OCR(スキャンした文書などの文字を識別できる機能)でも使ってれば別ですが。
もっというと寄付先の市町村が噛まなくても納税者が直接税務署なり居住地の市町村に申請できるようにすればそれで済む話なのでそうしてほしいですね。そうしたら何かあった時の悪者は納税者か税務署(各市町村)であって寄付を受けた市町村なり都道府県が巻き込まれることは防げます。
ことが起こったら批判ばかりするんじゃなくてこれからもっといい制度にするための意見も出てくるようになると望ましいですね。