【2022年読書レビュー】がん治療革命 ウイルスでがんを治す

この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。

今回紹介する本

『がん治療革命 ウイルスでがんを治す』です。

このブログでは何度かがんにまつわる書籍を紹介してきました。生きているうちに2人に1人ががんになると言われる時代だからこそ、治療法や心がまえを知っておくことは誰もが年金問題については知っておくべきように必要だと理解しています。


さて、COVID-19が流行り始めてから『ウイルス』という言葉にかなり敏感になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

抗菌、抗ウイルスというように悪者扱いされがちなウイルスですが、なんとウイルスを使ったがん治療があるそうです。がん治療といえば

  • 手術
  • 放射線治療
  • 化学療法(抗がん剤)

これら3つしか選択肢はないと思っていたのでタイトルで惹かれて読んでみたというわけです。

本書でもいっているようにまさに毒をもって毒を制する治療法。大多数の方にとっては聞き馴染みのない治療法についてその第一線で研究されてきた方がその概要と実用化までの道のりを詳細に表してくれています。

本書の構成
  • ウイルスで癌を治す
  • ウイルス療法の相手ー致死率100%の悪性腫瘍
  • 開発したウイルス薬G47Δの特徴
  • G47Δ開発への道のり
  • 臨床研究、治験の壁
  • 日本で治療薬開発を早めるために必要なこと
  • ウイルス療法の可能性

なぜがんに効く?ウイルス療法薬の特徴

上述の通り、従来のがん治療は手術か放射線か化学療法の大きく3択でした(ここでは所謂民間療法は除いてます)。そしてこれらにはなんらかのメリット、デメリットがあることは認知されていることと思います。

そこにきたウイルス療法。なんか胡散臭い・・・そう思う方もいるかもしれませんが、きちんとがんに効くメカニズムがあります。本書で言うと3章に該当する部分からかいつまんで紹介しておきます。

  • 大半の人が抗体を持っている単純ヘルペスウイルスⅠ型を使用する
  • 次の目的のためにウイルスの遺伝子を操作する
    1. 正常な体で病気を起こさないようにする
    2. 自滅しないようにする
    3. 正常な細胞では増殖できないようにする
  • がん細胞は正常細胞にウイルス感染に弱いが感染しても自滅はしない
  • その結果、ウイルスはがん細胞に忍び込んでも共倒れにならない
  • ウイルス療法のコンセプトである「がん細胞だけを殺して正常な組織を傷つけない」を実現する

そんなやり方があるのか!と目から鱗です。

本書でも指摘されているようにもしもウイルスが元通り=野生型になるリスクを懸念する必要はありますが、そこが担保されているならまさに革命的な治療法と呼べそうです。

夢のような薬には課題がつきもの

この本でわかること

  1. ウイルスががんに効く仕組み

著者はこの研究を進めるために一時的に無給の状態で海外での生活をしていたそうです。それを知ると「なんとしても一般的に広まってほしい」と言う思いにさせられます。

医学・科学の話はとっつきづらい印象がありますが、著者の気合によるものなのか熱意によるものなのか、なぜウイルスががんに効くのかの解説は非常にわかりやすいところも◎です。

本書の内容に関連して思ったこと

この手の話にありがちな「でもこういうデメリットが・・・」な話は著者が嘘をついているか隠していない限りはありませんでした。

が、明らかにされていたのは実用化までの遠い遠い道のりです。今般のCOVID19のワクチンの承認の際も良いか悪いかはさておき「日本は緊急でも承認が他国と比べると遅い」という声がちらほら聞かれました。

この研究についても例に漏れず時間がいかにかかったのかは本書を読んで貰えばわかりますが読めば読むほど「日本は本当に変にチンタラしてるなぁ」と思わざるを得ませんでした。

デジタル化も遅いし、改革も遅いし。これからの時代はスピード感持ってないとどんどん取り残されますから、少なくとも自分自身の行動は遅くしないようにしようと思いました。

この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人

おすすめ度は10点満点中9点です。

この本は次のような方におすすめです。本書で挙げられていた悪性脳腫瘍、この治療が奏功して特に年齢の若い人たちが早くに亡くなるなんてことがなくなってほしいですね。

  • 最前線の医療について知りたい
  • 新しいものに興味がある

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