ほんとうに金融所得の税率が上がったらどうなる?どうする?

はじめに

政府が金融課税の見直しに向けて着々進行

11月17日にこのような記事が出ました。一時的にヤフーのリアルタイム検索にも上位に上がっていたので目にした方もいるのでは?

金融課税、重要課題に明記へ 格差是正、来年以降議論―政府・与党:時事ドットコム

政府・与党が岸田文雄首相の掲げる所得再分配に向け、来年以降に金融所得課税の強化を本格的に議論する方向で調整に入ったことが16日、分かった。年末に決定する来年度税制改正大綱で、重要テーマとして議論を継続する「検討事項」に明記する。金融課税の強化には異論が根強いが、格差是正を目指す岸田政権の重点課題に位置付ける。 投資敬遠の恐れ 金融課税強化、市場が警戒 …

これ、10月の衆議院選挙の時点で言われていた話ではありますがまだ景気回復もしきっていないし物価上昇率2%も達成していないのによく議論に入れるな

というのが自分の感想です。

下の記事で偉そうに「日本なら税率上がらないでしょ!」と鷹をくくっていましたが当てが外れましたわ・・・。

同じ稼ぎ(所得)でも株の場合は負担小な今の税制

なんでこんなことを言っているかというと表向きには『格差の是正』です。

こちらに示すとおり(引用:国税庁HP)所得税の税率は累進課税制度です。本来なら株の儲けだろうが給料だろうがこれに沿って税金を支払う必要がありますが、株に関しては

日本国
日本国

「源泉徴収で20%払ってくれれば株の分からの納税は済んだことにしていいよ」

ということになっています。その結果同じ儲けなのに

  • 給料で1億円儲けた場合(ここでの1億円は所得が)・・・所得税+住民税で約5000万円の税金
  • 株で1億円儲けた場合・・・源泉徴収で払って仕まえば2000万円の税金

株の場合は本来払うべき税率より安く済んでいます。

だから税率を上げてお金持ちからたくさん取るようにしよう!という狙いがあるわけですね。

上がるなら一律の懸念あり

政府としては株で大儲けしているひとをターゲットにしたいようですが、そこだけ狙い撃ちは実質できず一律で税率が上がるんじゃないかと懸念しています。

例えば1年間に1億円以上儲けた人は30%、にしたら9000万円くらいで止めようという人が出てくるでしょうしそうなると個人個人がいくら年間でいくら儲けているのかを日々追跡できる状況にしないといけません。

でもそれは手間がかかります。じゃあ一律であげとくか、というの我々庶民にとっては悪い結末になりえます。

以降、仮に増税された場合の影響やどんなアクションを取ればいいか述べていきます。

増税されたらどうなる?

いまのご時世だと以下の点が考えられます。

  1. 株、投資信託での儲けの取り分が減る
  2. FIREの難易度が上がる
  3. 投資離れ

株、投資信託での儲けの取り分が減る

当たり前ですが、税率が上がる分手残りは少なくなります。例えば現在の税率20%が30%上がったとして元本100万円に対して200万円まで価値が上がった株を売却するとこうです。

  • これまでの手残り:元本100+儲け100*(1−0.2)=160万円
  • これからの手残り:元本100+儲け100*(1−0.3)=140万円

あくまで一例ですがかなりのインパクトです。

FIREの難易度が上がる

いわゆる4%ルールを適用するための必要資産が増えます。

自分はこのブログで耳タコレベルで「4%ルールは税金が考慮されていませんよ!」と申し上げてきました。

極端な仮定ですが、4%ルール用の資産が全て儲け分=課税対象と仮定します。1億円分の資産を築いていて年間生活費は300万円。

これまでなら4%ルールで引き出した400万円の20%に税金がかかって320万円の手残りで生活できていたのが、400万円の30%に税金がかかったら280万円の手残りなので生活費が足りません。

じゃあどうするか?30%税金で持ってかれても300万円残るだけの元本を用意しないといけません

逆算して1億と714万円です。1億円でよかったのが714万円も増えました。しかもこの想定、1億円の場合は手残りが320万円だったのが1億714万円まで用意しても300万円までへります

株の運用益だけで生きていきたいという方には酷な話です。

投資離れ

懇切丁寧に説明しようが、国民は単純な生き物なので「税率上がったなら投資する意味ないじゃん」と思うひとは増えるでしょう。

そうしたら貯金大好き人間がさらに量産されて物価上昇は夢のまた夢ですね♪

本当に税率上げるならNISA枠広げるくらいしないと、税率上がる前に利確を目的にした売りが走って株価が大下落なんていうガチでまずいことになると思います。

増税されたらどうする?

ずばり、確定申告しましょう!

これしかありませんね。

確定申告するってことは給料など他の収入と合算してまとめて税金を計算することになりますが、もし冒頭で紹介した所得税の税率が上がらなければ大概の人はお得になります。いまでもお得になる方がいます。

源泉徴収で30%持ってかれてたのが確定申告をすることで所得税+住民税が20%程度に収まればそれだけで節税ですね!

逆にいうとお金持ちで株を売買している人からすると確定申告してしまうと所得税45%+住民税10%の対象であることを自白することに他ならないので源泉徴収で済ませようというのは至極当然のはなしです。

変わらないものはないと思って常に準備

過去記事で金融課税の税率の歴史を紹介しましたが、ずっと源泉徴収20%だったわけではなく、時代によって移り変わっています。

おそらく当時の人は「その制度が永遠だ」と思ったことでしょう。でも変わりました。

自分達はどうでしょうか。「ずっと20%に違いない」と思っていないでしょうか?
自分は思っていました。

いまの状態が変わらないと思うのは人間固有のバイアスの一つです。

税金が増えるとしたらそれは全く持って嬉しくありませんが、かといって上がらないと思って甘い準備をしていると痛い目に遭うかもしれませんから、準備に関しては悪い側を想定しておくのが肝要です。

でも、やっぱり税率は上げて欲しくないな〜。

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