この記事のもくじ
2,000万円問題ほどじゃないけど、話題になりそうな見出し
11月10日にダイヤモンドオンラインから出ていた記事です。物価高で生活が大変だと言う思いをされているのは、現役世代だけではなく年金をベースとした生活をされている高齢者世帯も同様かと思います。その中で年金問題が悪化しそうなこの内容気になる方も多いのではないでしょうか。
年金の金額がどのように決まるかおさらい
2月ごろに年金額が決まったニュースを記事にしました。その時に抱き合わせで毎年の年金額はどのように決まるのかについても情報を示しましたが、この記事内でも改めて掲載することとします。
視覚的に理解できると思うので説明は抜きです(引用:厚生労働省「マクロ経済スライドってなに?」)。
細かくみていくと次の流れに沿って決まってます。この情報も上記リンク先を参照して記載しています。
- 次の数字を用意する
- 賃金伸び率A%
- 物価伸び率B%
- マクロ経済スライドによるスライド調整率C%
- C=前年の繰越分D%+公的年金保険全体の被保険者数の増減率E%+平均余命の伸び率F%(Fは▲0.3で固定)
- 年金の改定率を計算する
- 前年に対する年金の増減率G(%)=A or B+C
を使っているからです。ただし、A<Bの場合は現役世代の負担が増えないよういま年金をもらっている人もAに合わせることになっています。
これをもとにすると年金の増減率Gはこのように決まります。
上表との対応 | Aの増減 | AとCの 大小関係 | 年金の増減率G |
ある程度、賃金・物価が 上昇した場合 | プラス | A or B≧C | A or B-C |
賃金・物価の伸びが 小さい場合 | プラス | A<C | 0(差っ引けなかった分は翌年繰越) |
賃金・物価が 下落した場合 | マイナス | – | A(Cの分まるまる翌年繰越) |
今年の年金額の場合は、賃金の伸び率が物価の伸び率より悪かったことと、賃金の伸びがそもそもマイナスだったので、賃金のマイナス分がそのまま減額になりました。つまり、マクロ経済スライドが発動されていません。
なぜ物価対策の政策をすると、年金額に影響が出るのか
電気代にガス代、ガソリン代と物価の高騰によって影響受けているものはたくさんあります。なので、物価対策の制作をしてくれる事は本来なら嬉しいはずです。なのになぜ年金に影響が出ると言う意見が出てくるのでしょうか。
実はこの記事では指摘をしているものの、具体的にマクロ経済スライドの計算式と紐付けてここの項目が変わるから、年金の金額が本来もらうべき金額よりも下がってしまうと言うような説明はしていないところが不親切だと思います。なので、この記事の中で自分の推察ではあるもののお示しします。
金額の決まり方は前述の通りです。もし政府が物価対策をしなかった場合と物価対策をした場合では当然ですが、物価対策をした場合の方が、物価上昇率は小さくなります。
繰り返しになりますが、すでに年金をもらっている人の場合の年金額を決める、最終色は以下の色です。
- 前年に対する年金の増減率G(%)= B+C
つまり、今の日本政府はやろうとしていることが実現すると、Bの部分が本来の数字よりもちっちゃくなるので、年金の伸び率が抑えられてしまうと言うことになります。
これに対して「年金は減るかもしれないけれど、目先の生活に必要な支出が減ることになるわけだから、結局一緒じゃないか」 と言う指摘が来る可能性については執筆者も認識しています。
ただし問題なのは政府が価格を抑制しようとしているものを利用している人もいれば利用していない人もいると言うことです。 今回の政策だと、ガソリンや電気、ガスなどエネルギーに関連するものの物価高騰を抑制しようとしているわけです。つまり普段から車をよく使っていたり、電気やガスをバンバン使っている人は
- 年金:増額は抑えられる=嬉しくない
- 目先のガソリン代:支出が少なくなる=嬉しい
- 目先の電気、ガス代:支出が少なくなる=嬉しい
となりますがそうでない人は、
- 年金:増額は抑えられる=嬉しくない
- 目先のガソリン代:使ってないので関係ない=嬉しくもなんともない
- 目先の電気、ガス代:支出が少なくなる=嬉しい
ということで割りを食う格好になります。
だからこの記事では物価抑制の政策が必ずしもいいと思わないと言うような論調になっているわけです
政策をシンプルにしてくれればそれで良い
あまりネット界隈で出回っている記事を鵜呑みにはしたくないですが、どうやら今の政府は税金をできるだけたくさん取って、それを一部の方にばらまくと言うことで、ばらまいた先の人からの支持を得ようとしている感があります。
ただ、本質的には物価対策なんかしなくても給料が上がればそれで済む話なはずです。それで言うと一応今も政策としてはやってるっぽいのですが、賃上げをした企業に対する法人税の減額と言うような賃上げ税制の拡充をすれば、たったそれだけで充分な気がします。 それか、他の国民単位でかかっている税金を減額するかなどですね。少なくとも、この記事で述べられているように、政策によって、物価や賃金の伸び率が見かけ上変わってしまうと言う状況はよろしくないと思います。
アクセルとブレーキを一緒に分じゃなくて、もっとシンプルにやってほしいですよね。