【2021年読書レビュー】宇宙エレベーター その実現性を探る

この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。

お断り
この記事はもともと毎月読んだ10冊をまとめて紹介する形で掲載していましたが大変読みづらいことに気づいたので、1冊ずつのレビュー形式で再掲していますm(_ _)m

今回紹介する本

『宇宙エレベーター その実現性を探る』です。

宇宙エレベーター

とても夢のあるSF感を伴った言葉です。宇宙好きの自分は興味ありありです。

言葉としては次のように定義されています。

  • 宇宙エレベーター協会の場合:それは地上と宇宙をエレベーターでつなぐ、これまでにない輸送機関です。地上から天へと伸びる塔のようなもの。
  • 本書の場合:わたしたちを宇宙へと誘うゲートウェイ。ロケットとは全く異なる原理で地表と宇宙を結び、ロケットには超えられない壁の向こう側へと、わたしたちを運んでくれます。

「ロマンはあるけど、本当に実現するの?」「実現したらどんないいことがあるの?」こんな疑問に答えてくれるのが本書です。

本書の構成は以下の通りです。

本書の構成
  • 宇宙エレベータの紹介
  • 宇宙エレベーターを実現するための技術と実現性
  • 宇宙空間の安全・法律事情
  • 関係者から見た宇宙エレベーター
  • これまでの宇宙開発の歴史
  • 宇宙エレベーターができると何が変わる?

宇宙エレベーターでできるようになることはこんなこと

実生活で宇宙を意識することがないので、サグラダファミリアのごとく「できたとてどうなんの?」こういう疑問を持たれることでしょう。

本書では宇宙エレベーターが実現した場合の未来像として次の事例を紹介しています。

  • 宇宙太陽光発電
  • 低コスト(数百万円)での宇宙観光、宇宙リゾート
  • 軌道カタパルトによる探査機打ち上げ費用の削減
  • 月、小惑星、火星の経済的利用の拡大

何をするにも決定的な変化は宇宙事業に要する費用が圧倒的に安く済むことで経済的なハードルがグッと下がる点にあります。

それは当たり前のはなしで、一発ドカンと大量の燃料を使ってロケットを打ち上げるのと、のらりくらりと宇宙に向かってケーブルに沿って登っていくのでは必要労力が全然違います。

あくまで実現すればのことですが、これらは単純にワクワクするだけでなく、長期的に人類が発展・継続していくためのキーテクノロジーになるといっても過言ではありません。

できるとしてもドラえもんがいる世界?

この本のいいと思ったところ

  1. 宇宙エレベーターがいかに面白く、かつ、実現難易度の高いものかがわかる
  2. 宇宙エレベーターによって何が変わるか、何ができるか著者だけでなく宇宙エレベーターの関係者の構想も知れる

実現するかしないかはわからないけれど、したら間違いなくブレークスルー。

関係者の生の声を知れるのもいいですね。専門的な知識をもっている人も根底では「あれがしたい」「これがしたい」と思ってくれていることを伺えます。

本書の内容に関連して思ったこと

こんな可能性があるんだと思いながら暮らすのとどうせ成長なんてもうしないよと思って生きていくのでは生きがいにも影響します。

現実的な話だけでなくて心踊るような情報を時には取り入れていくのも生活に彩りを加える有効手段と言えます。自分は宇宙が好きなので尚更ですけどね。

この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人

おすすめ度は10点満点中9点です。

この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。

  • 宇宙が好き!
  • SF感のある構想に興味がある

現在の宇宙分野は基礎的研究・調査の側面が強いせいで経済的かどうかを論じられることすらありませんが、本書で紹介されているような事業が実現すれば十分お金儲けになります。

その結果として周りの天体(火星とか小惑星とか、はたまたケプラーと呼ばれる地球に似た惑星)を調べるためのお金を生み出せる夢のある話です。

本書が発行された2017年時点ですら最速で作って完成は2056年(そもそも技術的課題あり)。

なんだかんだお金の話やら法律の話が絡むと個人的にはドラえもんに会える22世紀でないと実現していないような気はしますが、気長に実現を応援しています。

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