この記事のもくじ
まえがき
今回紹介する本
『極端豪雨はなぜ毎年のように発生するのか』です。
本書の概要
こちらは気象庁に掲載されている1900年以降の年間降水量と1991〜2020年の30年平均に対する差分を示したものです。ご覧の通り、2010〜2020年の10年間は平均よりもずっと雨が多い期間でした。
こんなわけで「最近は雨が多いな」と感じる方も多いのではないでしょうか?しかも中身を考えるとゲリラ豪雨だの線状降水帯だのと急にたくさんの雨が降るようなケースが多くなってるように感じます。ここに地球温暖化を重ねて「これは地球温暖化のせいに違いない!!!」と思っている方もいらっしゃるかと思いますが。
ですが。
その前に「なんで線状降水帯みたいなものができるのか?」とか「なぜいきなり大雪が降ったりするのか?」と理解しておかない事にはそれが地球温暖化と関係あるのかないのか判断がつかないですよね。
・・・
というための本です。一通り読んで思ったのはかなり仕組みのところの説明が丁寧なこと。あまり興味がない人からすると「もっとかいつまんでくれてええよ〜」ってなるかもしれませんが掻い摘むのは自分でやればよろしいです。
テキスト
- 21世紀はじめ発生した豪雨を振り返る
- 豪雨はなぜ発生するのか?
- 豪雨をとらえる
- 進む地球温暖化
- 近年の豪雨は地球温暖化のせいなのか?
温暖化があろうがなかろうが「異常気象」は起こる
細かい気象現象の説明を引用しようにも自分の理解度すら怪しいのでここでは最終章に書かれている温暖化と豪雨の関係について紹介します。まぁ、ここが一般ピーぽーからしたら一番知りたい情報でしょうし。
この章でのポイントは以下の通りです。
- 異常気象とはある頻度で発生するものであり、それも含めて「正常」。これまでもこれからも「異常気象」は起こる
- 豪雨や台風などの主因は地球で元々ある自然の変動
- ただし豪雨を招くようなきっかけになる状態に至る頻度は地球温暖化の影響で増えたとは言える
雨が降る条件というと水蒸気がモクモクと上空に上がっていって雲になって水滴になって降ってくるという流れをとるわけですが、地球温暖化によって気温が上がっている分大気中に含むことができる水蒸気の量は増えてます。が、それと実際にそういう空気が上空に上がっていって雨雲になるかどうかは別問題。
だから著者は影響はあるかも知らんけど、なんでもかんでも地球温暖化のせいかと言ったらそうじゃないよというスタンスなわけです。
個人的には「そうは言われても昔は線状降水帯なんてなかったし、実際問題として雨の被害増えてるじゃん。なのにこれも正常な範囲内って言われても」とは思います。例えば100年前は100回に1回の頻度で起こるのが異常だったとして将来それが毎年起こるようになったとしても「毎年起こるってことはそれが普通なんだから異常ではないよね」と言われても「いやいや基準がおかしいやろ!!』って誰でも思うんじゃないでしょうか?
これは平年気温とか降水量なんかも同じでずっと暑いのが30年くらい続いた後=30年後に40℃とかなってても「40℃が平年気温なので平年通りです」って言われても「昔はもっと涼しかったわ!これが普通なのがおかしい」って思いますよね?
その辺の切り分け評価はこれから振り返ってなのでしょうけど、いい意味で「温暖化対策しないとまずいな」と思わせるデータも出てこればなぁと思いました。