貯蓄率と老後生活〜現金預金の場合〜

この記事はこんな方向け
  • 漠然と老後のための貯金をしている方
  • 実際、老後資金が足りるのか心配な方

はじめに

本題に入る前に質問です。

あなたは年間手取りの何%を貯金もしくは投資していますか?

自分は75〜80%です。

「2000万円問題」の「2000万円」もいるかどうかはおいといて、年金だけでは生活費のすべてを賄いきれずに別途お金を確保しなければならない方が一定数いらっしゃるのは事実です。

他方で、家計管理をアドバイスする動画やHPでは手取りの10〜20%貯金すればOKと言っていますが、定量的にいくらかかるから手取りの10〜20%貯金しておくとちょうどいいというような説明もされていません。自分からすると「一声10%で!」ぐらいにざっくり設定されているだけのように感じます。

そこで今回は貯蓄率に対して老後資金を確保するのに必要な期間を確認してみました。老後貯金を確実に確保したいという方は是非最後まで読んでもらえると幸いです。

評価にあたっての前提条件

何をするにも仮定をしないといけません。なので正確かつ緻密な評価とはなりませんがあらかじめご了承下さい。前提条件は次の通りです。

  • 年間の手取り収入を100
  • 仕事は22歳から60歳まで続ける
  • 年金は70歳から年間40もらえる(=所得代替率40%かつ受給年齢後ろ倒しを考慮)
  • 寿命は90歳
  • 22歳時点の生活費が一生変わらない
  • 物価上昇や消費税の引き上げ可能性は無視
  • 生活費には遊びや飲み会などゆとり分のお金も含める
  • 必要な老後資金=60〜70歳までの生活費+70〜90歳までの年金で足りない費用
  • 手取り収入は生涯変わらない
  • すべて現金で貯金する

特に今の生活費が一生変わらないということに関しては

  • 持ち家か賃貸か(持ち家だとローンを払っているときは出費が多い)
  • 生涯の医療費(病気になるかならないか。若いうちは出費に入ってこない)
  • 子供の人数

という影響因子で22〜60歳の間で当然変わるので「そもそも生活費っていつの時点の生活費?」という疑問も出てきますが、そこまで考えようにもきりがないので、「今の生活費」の定義はお任せします。自分の場合は「22歳の生活費」のつもりです。

投資した場合のケースは別の記事として紹介します。今回は簡易のため現金預金の前提で進めます。

評価結果

さっそく結論からいきましょう。前提条件ままで貯蓄率が10%の人は老後資金を貯めるなら190年もかかるという訳のわからん結果になっています。

複数グラフを用意したのは前提条件だけだととんでもないことになったからです。

  • 赤色:前提条件のまま
  • 緑色:65歳まで働く
  • 青色:70歳まで働く
  • 黄色:70歳まで働いて70歳〜90歳の生活費を年間10少なくする

です。悲しいかな、貯蓄率10%だと80年かかる≒老後になっても働き続けるしかないことになります(前提条件だと働くのは22〜60歳の38年間なので38年間の間に貯金が終わらないならその分働くのは自然な話ですが)。

当然っちゃ当然の結果ではあります。

貯蓄率が低い場合

年間の生活費が高い
⇨死ぬまでに必要なトータル金額が多い

  1. 年間の生活費が高い
  2. 死ぬまでに必要なトータル金額が高い
  3. でも貯められる金額は生活費が高い分少ない
  4. だから必要な金額まで到達するのに長い時間がかかる

貯蓄率が高い場合

先ほどと逆で

  1. 年間の生活費が少ない
  2. 死ぬまでに必要なトータル金額も少ない
  3. 貯められる金額が生活費が少ない分多い
  4. だから必要な金額まですぐに到達する

ということになるわけです。貯蓄率が60%超えの辺からほとんど年数がかからないことになっているのはそもそも年金だけで必要な金額のほとんどを賄えてしまうので別にお金を用意する必要がないんです。

貯蓄率が少ない人のほうが必要な金額は多くてなかなか貯められず、貯蓄率が多い人はお金をためる必要がないのに生活費が少ないのでお金が余るという何とも皮肉な話です・・・。

最悪を想定してほどほどに期待

しつこく言いますが、自分はとことん期待をしません。今回の前提条件でいうと

  • 手取り100だった人の年金が40
  • 年金をもらえるのが70歳から
  • 給料が上がらない

というのはかなり悲観的ですが、甘く見積もって困るより全然マシです。

実際は年収が上がっても生活費を変えなければ貯蓄率は上がりますし、ずっと若い時と同じくらいお金を使うこともないでしょうから絶望的な状況にはなりませんが少なくとも「10%貯金しとけば余裕でしょ!」と思っていた方には少し生活費を見つめ直すきっかけにしてもらえればと思います。

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