【2023年読書レビュー047】アメリカの核戦力

ロシアのウクライナ侵攻で再び日の目を見てしまった「核」

『アメリカの核戦力』を紹介します。


いわゆる核爆弾を保有している国の中で削減していこうという動きがあったはずが、2022年から始まったロシアのウクライナ侵攻を受けて「やっぱり核戦力は必要なんじゃないか」とか「非核とか綺麗事を言ってる場合じゃない。今のロシアなら核を先行使用してもなんらおかしくない」こんな意見がよく聞かれる様になりました。

なんならアメリカでは無くす方向に行くどころか「核兵器の近代化」が進んでいるというのです。目指すべき動きと完全に逆行してるわけです。ではなぜ「無くした方がいい」とされる核戦力を使った軍事戦略にこだわるのか、核兵器の保有によるリスクはないのか・・・本書ではそういうことがわかります。

「核兵器をなくす」と言ってたはずの張本人が始めた核兵器の近代化

2023年現在の大統領はバイデン氏。ここから2つ遡るとバラク・オバマ氏です。大統領選挙の時の「Yes,we can」のセリフや初めての黒人系の大統領であることが注目されました(今だったら、黒人系が初めてだとか言った時点で多様性がどうのこうのという意見が飛んできそうです)。

彼が2009年に演説した内容が取り上げられていました。それは

  • 核兵器のない世界に向けた政策
  • その目標はすぐには到達できず、核兵器が存在する限り敵を抑止するための核戦力を維持する

です。壮大な矛盾を抱えている気がしないでもないです。世の中に核兵器があるかぎり、自分たちも核戦力を保有するということですが、これって「みんなは核兵器を無くしてくれれば自分たちは最後に手放しますよ」という意味にもとれます。

それは他の核保有国がOKしないでしょう。自分たちがおとなしく手放したらアメリカだけが核保有国として残ります。その時になって「やっぱり核保有続けますわ!」なんて言ってももはや他国はどうしようもないし、アメリカの一人勝ち状態です。

上記2点目の内容が核兵器の近代化につながるわけですが、そんなことしてたらいつまで経っても核兵器はなくならんでしょう。ないしは核兵器をなくすという理想論は手放してある程度は核兵器がある前提で軍事政策を決めた方がいいとも思えます。自分は本書を読んでそういう方向に傾きつつあります。唯一の被爆国の国民としてはよろしくない考え方かもしれませんが、理想と現実は異なるのが常です。

バカすか作るのがいいとも思いませんけど、実現しもしないことを考えても無駄な労力なのかなというのが核廃絶の問題なのかなと思います。

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