この記事のもくじ
この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。
今回紹介する本
『氏名の誕生 江戸時代の名前はなぜ消えたのか』です。
本書を手に取るまで大して意識してなかった「氏名」と「名前」の違い。あなたは考えたことありますか?
どっちも例)山田太郎で強いていうなら氏名の「名」と「名前」がイコールで太郎のこと、ぐらいに思っていたのですがどうやら江戸時代の日本では明確な区別があったようです。
本書では江戸時代〜明治時代にかけて、人々がどのように自分の呼び方(本書上は名前と氏名が異なる意味でごっちゃになるので呼び方としています)を決め、そして、統一されていったかの歴史を解説しています。
- 「名前」の話
- 「姓名」の話
- 姓名と名前の違い
- 呼び方論争
- 呼び方の変遷
- 呼び方を統一するまでの流れ
- 呼び方整備の完了
超ややこしい呼び方の違い
名前と姓名と氏名とそれから・・・?
正直読んでて嫌になるほど何回も出てくる「名前」と「氏名」「姓名」さらには実名やら本姓やら・・・。脳みそ整理的にどんな違いと定義して本書で述べられていたか紹介します。
- 名前=苗字(名字)+通称or通称
- 通称は立場によって3種類の使い分けがあった
- 苗字は現在の苗字とイコール
- 姓名=本姓+実名(名乗)
- 最終的には実名と通称が統一
- 本姓は廃止
- 氏名=現在私たちが使っているもので、当時は相当するものが存在していなかった
苗字と本姓って一緒やろ!っと思ったらやっぱりそうなようで、苗字は通称とセット、本姓は実名とセットで使うという規則があって、意味合いは一緒だけど用途が違うんですって。
本姓はそういう設定をしたというだけで正式な人の呼び方にはなってなかったようです、それなら最初っから「名前」の呼び方に統一すりゃいいのに・・・。
あなたの「氏名」も歴史と関わっているかも!
この本のいいと思ったところ
- 身近な存在の歴史がわかる
- 当時の資料を通して「呼び方の歴史」を実感できる
普段何気なく使っている「氏名」ですが、江戸時代〜明治時代にかけてあれこれと変遷なり混乱があって成立した存在であるということで若干のありがたみを感じられます。
もし明治政府が尽力してくれてなかったら今頃あなたは2つや3つの「呼び方」を併用するという超面倒くさい世の中に生まれていたかもしれません。
本書の内容に関連して思ったこと
当然、今は一人の人に一つの呼び方ですが、今でも意味は一緒なのに複数使い分けしている言葉ってまだありますよね。
- 内閣総理大臣と総理と首相
- 「ご飯」(白米、玄米とは異なる意味)と「食事」
意識して使わなくても日常生活に支障がないとはいえ、意味を意識しなかったり巷での呼称事情を知らないと知らぬ間に「死語」になっているかも。
暇があったら「この違いってなんだろう」と考えてみる、調べてみると知識として血肉にできそうです。
この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人
おすすめ度は10点満点中8点です。
この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。
- 歴史が好き
- 自分の「氏名」の成り立ちに興味がある
現代の苗字の方は住んでいた土地に関係して決まったとか昔そこそこ力を持っていた一族ならその苗字(例えば伊達さんとか藤原さん)がそのまま受け継がれていたりとか色々あります。
それが気になったら興味ついでに読むのがちょうどいいかと思います。完璧に理解しようとすると新書形式は文字ばっかりで理解がきつかった・・・。